Cul De La 通信 第12号

空気の中を泳げそうな、湿度の高い日が続いています。
人間はうんざりですが、草木は来たる夏に向けて、葉を広げています。


目次 

寄稿文「これからの都市計画」
– ポチエ真悟(Impact HUB Tokyo 共同代表)

活動報告

編集部より

奥付


寄稿文

「これからの都市計画」
– ポチエ真悟(Impact HUB Tokyo共同設立者・取締役)

地域イノベーションばかり毎日考えるようになって数年経つが、

なぜ地域の方が大都市よりイノベーションが起きやすいかについてやっと率直に話せるようになった。

私は、東京は目黒のImpact HUB Tokyoという、起業家のコミュニティを作る仕事に共同創業者として携わって7年目、

そして、2018年からは長野・塩尻市における市役所運営のイノベーションハブ拠点の運営支援をしてきた。

そして、今年から来年にかけて中部地方の大都市でのイノベーションハブ拠点を運営する予定で動いている。

東京のイノベーションハブ拠点と、地方都市のそれを、日々両方見比べながら、
都市とイノベーションが起きるプロセスの本質を考えることが多々ある。

大都市のイノベーションのほとんどが「モノ」ベースだ。
モノ、企業、時にはかっこいいスタートアップをイノベーションと呼ぶ。

地域は少し違う。もちろん大都市モデルを当てはめようとする人々はたくさんいるが、
イノベーションが持続している地域は違う。

地域のイノベーションは「ヒト」がベースで、「ヒト」が「ヒト」のために何かことを初めて、結果それがイノベーションに繋がる。

「ヒト」がベースのイノベーションは持続しやすい。
「モノ」はいずれ消費されてしまい、忘れられるが、「ヒト」、特に地域の「ヒト」はずっとそこに居る。

「モノ」ベースのイノベーションの多くがハッタリだ。
実際に、我々の生活を良くしてくれる「モノ」が世界に誕生するのは本当に希だ。

そのほかの「モノ」はハッタリだ。

パクリはもちろん、新しいものを欲する人達が次何を欲しがるか、

そう言ったハッタリ商品がどんな夢を叶えてくれそうに見えるのか、についてのプロだらけの世の中になってしまっている。

「ヒト」に関していうと、もちろんハッタリは多い。
ただ、大都市と地域で違うのは、地域ではハッタリが通用しない、ということだ。

大都市でハッタリがバレても隠れる場所もたくさんあるし、属するコミュニティーを変えることも容易にできる。

地域はほぼ毎回一発勝負だ。

なので、もし本当に人々が喜ぶ、地域のための、環境のためのイノベーションを見たいのであれば、大都市を出て、地域に行くと良い。
その事業が誰のために、何のためにあるのかがはっきりしている環境だからこそイノベーションが起こりやすい。

もちろんリソースは大都市と比べて少ないかもしれないが、
国連で決めた指標を使った点数稼ぎの様なことはしなくてもイノベーションは起こせている。

「ヒト」ベースのイノベーションが地域で多く発生しているとなると、これからの大都市の役割はどうなるのか?

地域のイノベーションの多くは大都市とはあまり関与せず発生している。

今の日本のイノベーションの分布は分散型だ。
私は歴史の専門家ではないが、今の分散型社会は徳川家が日本の統治を始めた頃以来の出来事ではなかろうか?

もしこれからのイノベーションがもっと分散型になっていくとしたら、今我々が立てている想定や、頼っている仕組みはほぼ役に立たなくなる。

今の仕組みの多くが情報、権力や資産を集約する仕組みだからだ。

先日友達と話していた時に日本が海外と比べて分散型社会なのは肌感覚としてわかるが、何か良い例えがないか、という話になった。

色々な例が出てきたが、個人的に心に残っている例えが二つある。
一つ目は、日本の列車は先頭に大きな機関車を置くというよりもモーターを分散させる。
メリットもデメリットもあるが、それが日本風の列車づくりだという話。

もう一つの例は、日本料理というものにはメインコースはない。
主役があるというわけでもなく、それぞれの料理がお互いの良さを出す仕掛けになっている。

そんなことを考えながら、これから我々が目にするであろう日本社会の将来を想像すると、ものすごく楽しくなれる。

-----------
参考リンク

Impact HUB Tokyo_ インパクトを社会に生み出す人達のHUB

シビック・イノベーション拠点「スナバ」

活動報告

日本カルチャーデザイン研究所は、今年も『図書館総合展』にフォーラム主催者として参加します。
今月も打ち合わせを開催予定で、その様子は後日活動報告にいたします。

その他の活動報告は、こちらをご覧ください
→ http://jcdlab.com/news/


編集部より

今号は、Impact HUB Tokyo 共同代表のポチエ真悟さんに、ご寄稿をいただきました。

私は東京で育った都会っ子ですが、
便利で、なんでもすぐに手に入る大都市で生活していると、
「私」というヒトが「消費者」として消費されていくような感覚になります。
私は、お金や時間の余暇を、顔の見えない消費者のためのコンテンツやモノに対して支払います。
その時、「私のために使うはずだった」余暇の喪失を感じるのです。

全貌のすら不明な、巨大な供給者の顔は、誰にも見えません。
その巨人が、私を典型的なペルソナとして想定する時、
その供給者に捧げられた私は、「消費者」の容貌をしている。
私もまた、雲の向こうに隠れた巨人の顔を見上げて、不安な気持ちになります。
巨人は、私の顔を見ているか…私は、せめてきちんと巨人の糧になっているのか…

持ち物を見ればその人がわかる、と言いますが、
それはまた、その人が欲した物の履歴とも言えるでしょう。
「欲しい」と思い、ここにないものを夢想することは、
「私」の主体性と分かちがたく結びついています。
欲を仮初めの消費財で埋めるたびに、
私たちは、ないものを思う力を鍛える機会や、
確固たる主体として自分を見つめる機会を失っているのかもしれません。

人が人のために起こすイノベーションは顔が見える、主語がわかる…ということと表裏一体にして、
「私は誰のために何をするのか」という基本的なことさえもはっきりしないまま、属性の集合体として生きることが、
いかに私たちの「当たり前の生き方」になっているのかという驚きもまた、
地域発のイノベーションに教えられています。

豪雨に見舞われた地域の皆様は、無事に過ごしておられますでしょうか。
被害がなくとも、危険が迫るというだけで、心には重い負担がかかりますね。
雨だれを眺めながら読書を楽しめるような、梅雨らしい梅雨が早く訪れますように。

編集部 髙城 光


奥付

Cul De La 通信
2019年7月8日発行 通巻第12号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第11号

奄美・沖縄地方が梅雨入りし、夏の気配も遠くに感じられる時期になりました。


目次

寄稿文「村のチームがトライバーシートに座って取り組む持続可能な開発」
– 原ゆかり(ガーナNGO法人 MY DREAM. org 共同代表)

機関誌『Cul De La』第2号が完成しました

編集部より

奥付


寄稿文

「村のチームがトライバーシートに座って取り組む持続可能な開発」
– 原ゆかり(ガーナNGO法人 MY DREAM. org 共同代表)

2012年6月、当時アメリカの大学院に通っていた私は
インターンとしてガーナ北部ボナイリ村に派遣されました。

初めてのアフリカ、初めてのガーナ、初めての村の生活。
ボランティアとして何か役に立てるはず、そう信じて村での生活を始めた私が実際に経験したのは、
村のみんなに寝床や食事、バケツ入浴のための水を用意してもらったり、
現地の言葉や文化、暮らしぶりについて教えてもらったりという、
とにかく助けてもらうことの連続でした。

何か恩返しをしたいと、現在はMY DREAM. orgの共同代表を務めるザックに相談し、
村のリーダーたちと話し合った結果、
「子どもたちが夢を見つけ、追いかけ、実現していく環境づくりをしたいね」
という想いで一致し、幼稚園建設プロジェクトを立ち上げることになりました。
これが、MY DREAMプロジェクトはじまりの経緯です。
以後、子ども用トイレ、お遊技場、クリニックなど、
子どもたちを取り巻く環境を改善するためのプロジェクトを、
村のチームが主体となって推進してきました。

2014年、「外国からの寄付がなくなったらプロジェクトはどうなるんだ?」という
村のメンバーからの問題提起を受けて以降は、
立ち上げから10年後の2022年までに寄付から卒業し、村発のビジネスから得られる収益をもって、
子どもたちの生きる環境を改善していく活動が続けられるようになることを目指すようになりました。
アフリカ布で鞄やエプロンなどを縫製したり、
ガーナ発のコスメブランドと提携してシアバター商品を開発したり、
稲作に取り組み始めたり、と様々なことに取り組んできました。

MY DREAMプロジェクトが立ち上がり当初から最も大事にしているのは、
プロジェクトのあらゆる場面における中心と主体が村のチームであること、です。
ガーナの首都アクラ在住のチェアマンや外国人である私自身がボードメンバーとして意思決定に関わる
予算事項等を除いては、プロジェクトのPDCA(計画、実行、評価、改善)の全てを村のチームが手がけています。
その過程で生じる想定外の出来事や失敗を見過ごしたり隠したりはせず、
何が問題だったのか話し合い、改善策を考えることも大事にしてきました。

「ボナイリ村の人々は、一つ一つの開発プロジェクトに“関わる”というよりも、
ドライバーシートに座ってプロジェクトを引っ張っている自覚がある」という、
2017年に完成したMY DREAMクリニックにガーナ保健局から派遣されている看護師の言葉が、
まさにチームの姿を的確に捉えているように思います。

7年間の歩みにおいては、村人たちの取り組みに、多くの人々や組織が知恵や力を貸してくださいました。
ガーナ農業省、国連やJICAの職員の方々から稲作指導をしていただいたり、
近隣で活動する青年海外協力隊の皆さんに子どもたち向けのワークショップを開催していただいたり、
応援してくださる世界中の方々から専門的なアドバイスをいただいてきました。
村のチームは、そんな多くの方々の関与を受けながら、自分たちの道を選択し、
一つ一つ実績を積み重ねてきました。

立ち上がりから7年目、寄付からの完全卒業を目指す2022年まであと3年と少し。
ドライバーシートに座ってプロジェクトを引っ張り続ける村のチームに寄り添い、見守りながら、
真に持続可能なエコシステムの確立に向けて、引き続き取り組んでいきたいと思います。

---
参考リンク
— 原 ゆかりさんが共同代表を務めるMY DREAMプロジェクトのwebサイトです。
MY DREAM made in Ghana

 

 


機関誌『Cul De La』第2号が完成しました

機関誌『Cul De La』第2号が、4月23日に発行されました。
会員の皆様のお手元には、すでに届いていることと思います。

--- --- ---
道標 植松貞夫
「図書館建築の評価ポイント」

対談企画 伊東直登 × 岡本真
「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」

展望 畝森泰行
「須賀川市民交流センターの挑戦——有機的な建築を目指して」

対談企画 河瀬裕子 × 手塚美希
「地域を活かすライブラリアンシップ」

建築特集 坂田泉
「紫波町図書館」
「須賀川市民交流センター tette」

エッセイ 鳴海雅人
「風音と潮騒が聞こえてくるだけで価値観が変わる場所
——生き続ける遺伝子 ミライon図書館(長崎県立・大村市立一体型図書館)」
--- --- ---

機関誌をお読みになった会員の方からは、たくさんのご好評をいただいております。
小さな編集部にとって、皆様のお声が本当に力になります。
ご意見やご感想、叱咤激励のお声を編集部までお送りください。

編集部は、早くも次号の機関誌に向けて企画を立て始めています。
メールマガジンでも、企画の進捗をお知らせします。どうぞお楽しみに。

 


活動報告

第3回理事会が開催されました —2019年4月24日

第3回理事会が開催されました

機関誌『Cul De La』第2号を発行しました —2019年4月23日

機関誌『Cul De La』第2号を発行しました

その他の活動報告は、こちらをご覧ください
→ http://jcdlab.com/news/


編集部より

みなさまお元気でお過ごしでしょうか?

今回のCul De La通信では、MY DREAM. org の原ゆかり様にご寄稿をいただきました。
「もしも寄付がなくなったら?」という疑問からスタートしたMY DREAMプロジェクトですが、
参考リンクにある、製品の作り手を紹介するページでは、
真っ青な空を背景にたくさんの笑顔が輝いていました。

ボナイリ村の村民の笑顔をからは、
施しに頼らず、「自立する」ことは幸せで美しいことだと感じます。
幾重もの豊かさに守られ、「もの」と「こと」に囲まれて生活する自分自身は、
本当に自立できているのか?美しく生きているのか?と問うてみたくなりました。

編集部は、3月から4月の忙しい時期を乗り越え、少し一息ついています。
一方、社団のメンバーは、プロポーザルの書類作り、各方面との打ち合わせなど、
いつも通り全力で動いています。
ちょうどどのプロジェクトも下準備の段階で、なかなか皆様にお知らせできるものが少ないのですが
続報にご期待ください。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信
2019年5月27日発行 通巻第11号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第10号

今年の春はすがすがしい日が続き、桜の花も長く楽しめました。
花々の間には、みずみずしい若芽が力強くのびています。


目次

  • 寄稿文「僕をかたち作った場所」―― 山口覚(津屋崎ブランチ)白馬村新図書館等複合施設基本構想策定業務が完了しました!

    ―― 花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

    機関誌『Cul De La』まもなく完成です

    編集部より

    奥付

 


寄稿文

「僕をかたち作った場所」

山口覚(津屋崎ブランチ)

“図書”という単語から真っ先に思いつくのは小学校時代の冬の図書室。
凍えるほどの寒い教室とは違い、ストーブが焚かれ、緑色のふかふかの絨毯が敷き詰められたその場所は、
小学校にありながらも大人の雰囲気の漂う場所だった。
週に1度の図書の時間は楽しみにしている時間だった。
いや、正確に言うと読書そのものが楽しみだったというよりも、
誰にも邪魔されない45分間が保証されることに意味があったというべきだろう。
その空間で好きなだけ本のタイトルを眺め、手に取り、6人掛けの大きなテーブルを広々と使って読む。
自由に振る舞える時間は自分が大人扱いされているようで嬉しかった。

1年生の時から大好きだったのは、学研のひみつシリーズ。
「地球のひみつ」を手に取ると、マンガなのでスルスルと読み終えてしまった。
地球がマントルでできていて、年間に数センチずつ移動していることを知る。
あまりの面白さに、図書室に通い詰め、ひみつシリーズを読破。
飛行機はベルヌーイの法則で飛んでいることを知り、人体の臓器の役目を理解した。
今考えると1年生でそのくらいのことは覚えるのだなと感心する。

文章として最初に読んだ記憶があるのは伝記もので「石川啄木」。3年生の時だったと思う。
「はたらけど はたらけど なお我が暮らし楽にならざり ぢっと手を見る」
今思えば随分と渋いチョイスをしたものだが、ふりがなが振ってあったので何の抵抗もなく読破した。
その本を皮切りに人の人生を追体験できる面白さを知り伝記にはまる。
野口英夫、ナイチンゲール、アンネの日記などを続けざまに読んだ。
それから次は江戸川乱歩シリーズに没頭。

自分は外で遊ぶことが大好きで特に本好きだったというわけではない。
思い返せば、中学高校と全く読書から離れてしまった。
なのに小学校の頃に読んだそれらの本の内容は今も心に深く刻まれているのはなぜだろう。

子供の頃、大人たちはあれをしろ、これはするなと煩わしく渋々従っていた。
しかし本を選ぶ楽しみと読む楽しみは、大人の干渉の外にあった。
何より、心と頭の中に広がる空想の世界は誰にも邪魔されない大切な場所だった。

自由とともに、自ら学べる喜びを満喫できた図書の時間。
図書に触れる環境が身近にあるということは、自分だけの城を持つということなんだろう。

山口 覚(津屋崎ブランチ)

関連リンク

津屋崎ブランチ

 


白馬村新図書館等複合施設基本構想策定業務が完了しました!

平成30年度の業務として、長野県白馬村の新たな図書館等複合施設における
基本構想策定業務を完了いたしましたことをご報告いたします。

本基本構想の策定支援にあたっては、これまでに実施したアンケート調査、
SDGsの視点から意見を出し合った3回のワークショップ(花井理事長が企画設計及びファシリテーター)、
専門的な視点での議論のための有識者会議の開催(花井理事長が有識者としても出席し、
当社団で運営のご支援も担わせていただきました)等を踏まえて、
様々なご意見を基に、白馬村と共に検討してきました。

これまでに意見が出されてきた、村内外・国内外問わず、多様な人々が集い、出会い、交流し、
学ぶことのできる場所であってほしいという想いや、図書館施設検討委員会の検討内容、
そして、多様な文化と交流する居場所づくりをすることで、
未来を担う子どもたちが豊かな白馬村を創造することのできる拠点として、集い続け、
愛され続ける施設となってほしいという願いを込めて、
「多様な創造性と出会い、豊かな未来へ誘う道しるべ」というコンセプトを定めました。

白馬村は、山岳があり豊かな自然があること、村内外に留まらず、
海外からの来訪者や移住者も多いなどという特徴があります。
それらの特徴を活かし、守りながら、現状の図書館や子育て、福祉などについての
課題解決にも繋がり、「白馬の豊かさとは何か―多様であることから交流し学びあい成長する村―」
という村の基本理念を実現する拠点として、白馬村らしさが光る新図書館等複合施設を目指しています。

今年度は、有識者会議で出された「滞在型」と「交流型」というキーワード、そして、
基本構想にもまとめた新図書館等複合施設に求められるサービスや機能連携を基に、
基本計画の策定に入っていくことになります。

引き続き、白馬村に相応しい新たな拠点づくりのために、ご支援させていただきたいと思います。

「白馬村図書館等複合施設基本構想」及び
「白馬村図書館等複合施設基本構想概要版」については、こちらをご参照ください。

白馬村図書館等複合施設基本構想/白馬村

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


機関誌『Cul De La』まもなく完成です

機関誌『Cul De La』第2号は、4月23日発行予定です。

--- --- ---
道標 植松貞夫
「図書館建築の評価ポイント」

対談企画 伊東直登 × 岡本真
「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」

展望 畝森泰行
「須賀川市民交流センターの挑戦——有機的な建築を目指して」

対談企画 河瀬裕子 × 手塚美希
「地域を活かすライブラリアンシップ」

建築特集 坂田泉
「紫波町図書館」
「須賀川市民交流センター tette」

エッセイ 鳴海雅人
「風音と潮騒が聞こえてくるだけで価値観が変わる場所
——生き続ける遺伝子 ミライon図書館(長崎県立・大村市立一体型図書館)」
--- --- ---

今号は「図書館建築」「地域連携」を大きなテーマとしています。
構想段階から注目の集まった「須賀川市民交流センター tette」が、今年1月にオープンしました。
「tette」は、東日本大震災からの創造的な復興を目指して計画されており、
まさに、2つのテーマが経糸と緯糸のように重なり合っています。
今回の『Cul De La』ではここを核とし、
図書館建築と地域連携のキーマンといえるゲストにご寄稿、ご対談いただきました。
建築をめぐる3つの寄稿は、よい図書館建築とは?という問いへの答えを導きます。
また、地域連携をめぐる2つの対談企画のコントラストも、面白い見どころです。

編集部デザイナーは、手塩にかけたレイアウト稿を印刷所に渡し、
仕上がりを待っているところです。
みなさまのお手元にも、まもなく届きます。
どうぞ楽しみにお待ちください。

 


編集部より

今号では、山口覚様のご寄稿をお届けいたしました。
私の息子はまだ字を読めませんが、彼もひとりで読書をします。
字を読めない子どもが、夢中になって読書するということは、
私にとって意外な発見でした。
部屋のどこにでも座り込み、絵本のページをじっくりとめくり、想像をふくらませています。
覚えている絵本の言葉をポツポツとつぶやいていることもあります。

ひとりで本を読んでいる彼の姿には、近寄りがたい尊さがあります。
そういう姿を見ていると、本を読む時は子どもにとってとても根源的な、
世の中のものごとと向き合う時なのだな、と思います。
どのような子どもも、こういう「時」に恵まれる環境にあってほしいと願います。

年度の変わり目で、お忙しくされている方も多いと思います。
みなさまお身体に気をつけて、よい春をお過ごしださい。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信
2019年4月19日発行 通巻第10号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第9号

あちこちで梅の花が薫っています。厳しい寒さも次第に和らいでまいりました。


目次

    • 寄稿文「少ないものに集中し、多くの可能性を引き出す

 

    • ——『レス・イズ・モア』実用の極美(きわみ)東京都公文書館」

 

    • – 鳴海雅人(株式会社 佐藤総合計画)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告
– 花井裕一郎

活動報告

特別対談企画「地域連携と図書館 ——図書館の新たな役割」開催

機関誌『Cul De La』編集中です

メールマガジンのweb公開を始めました

編集部より

奥付

 


寄稿文

「少ないものに集中し、多くの可能性を引き出す ——『レス・イズ・モア』実用の極美(きわみ)東京都公文書館」

鳴海雅人(佐藤総合計画)

絵画・彫刻・書道といった美術にかかわるものが私たちの暮らしの中にないからといって
私たちが生きていけないわけではない。
その類いのものを知らなくても豊かな生き方をしている人たちは大勢いる。
ただその人たちも、美術という近代になって系統づけられたものを鑑賞していないだけで、
よくよく見ると、その人々の周囲には「美の基礎」といったものがしっかりと存在している。

美術鑑賞に特別な勉強はいらない。
子供も目がすべての対象物を見つめるのと同じように、素直な目で鑑賞すればそれでよい。
美しいものはそれ自体が私たちに語りかけてくれる。そうして私たちの身体のなかには、
美しいものを発見し、理解できる能力が生まれながらに備わっているのだ。
「ほんもの」を見ることだ。それが美しいものへの感受をより深いものにしてくれる。
「ほんもの」の中でも、今まで「芸術性」を前提としていない公文書というものに、
わたしは、東京都公文書館の設計をきっかけに意識するようになった。
世界の行く末を、日本の行く末を決定した締結文書を美しいと感じる。
勅語、実用文書は、芸術性を前提としていないものだけに、
ある見方をすると「究極の美しさ」をかもし出す。
これは建築美に似ている。
単純化したもののなかに美を見出そうとする日本文化の粋のようなものだ。

東京都公文書館のテーマは「森のなかのアーカイブの森」、
建築の構成として、200万点を超える保存部門が2階3階の2層の大半を占め、
利用部門(公開機能と事務管理機能)は1階のガラス張りの透明な部分であり、
まずは建築自体が博物館のようなソリッドな美しい造形を描く。

国分寺市の都立武蔵国分寺公園の西側、東山道沿いに公文書館は計画される。
隣接する都立多摩図書館は完成したが、2館が並んで、より相乗効果を発揮する。
公文書は美しい。建築とアートの優しい関係と同じように、
なんと言っても実用の極みの「公文書」が、そこはかとなく「美」的とも言える
アートの領域までを包んでいると思えてならないからである。

それは「レス・イズ・モア」、つまり、空間の装飾的な要素を取り払っていけば、
あらたな価値が見えてくる世界に等しい。
ミース・ファン・デル・ローエ(独:1866~1969)は近代建築の巨匠であるが、
「レス・イズ・モア(少ないことはより豊かなこと)」と名言を残している。

「豊かさ」とは何だろうか。それは経済的な裏づけだろうか。
人間はすべての物を手に入れても、欲というものにはきりがない。
それを追えば追うほど、「ある」ものではなく「ない」ものに心が執着していくものだ。
しかし、ゼロでは生きていくことは出来ないし、
「より少ないことは、やはり、より少ないことだ」になってしまう。
本質は違うところにある。
「レス・イズ・モア」の意味するところは、
出来るだけ少ないものに集中すれば、それをより活かすことができる。100以上の可能性を引き出せる。
つまり、自分にとって最も大事なものにフォーカスしようとする姿勢である。
公文書はこの精神を暗示している。

多くの国民にとって全くの関心外であったであろう法律が2009年6月24日に成立した。
「公文書の管理等に関する法律」である。
民主主義国家には、当たり前の法律なのであるが、それを今、日本はようやく手にしたのだ。
公務員の意識は変わり、日本の社会、文化、芸術にも少なからず影響を与えるだろう。
公文書あるいはもう少し広く言えば、「アーカイブズ(記録資料)」が、
より良い社会をつくるうえで重要な存在であるかがわかってきた。

一つ目の例は、「除籍簿」という記録が役所には存在する。
結婚や死亡などによって一つの「家」に属していた人の名は徐々に抹消されていく。
そしてついに、家に誰もいなくなったとき、戸籍は抹消されて除籍簿に移される。
一つの「家」があり、そこに固有の名前の人が属していたことを記した名簿である。
ところがこの除籍簿でさえ、150年が経過すると廃棄される。
よほどの著名人でない限り、この世に存在したことの記憶さえ消えてしまうのである。
良く知られているとおり、戸籍制度はほぼ日本独自の制度である。(※)
善くも悪くも、古くは奈良時代から日本の伝統・文化のひとつとして機能してきた。
しかし廃棄されてしまえば、一人の人間がこの世に存在したことを公に証明するものは何もないことになる。

そこから垣間見えるのは、日本という国が、一人ひとりの国民をどのように見てきたかというスタンスである。

貴重な歴史資料である除籍簿は、住民の存在証明(アイデンティティー)にとって
不可欠な記録資料であることから、これを、公文書館に移管して保存管理し、
研究に役立てることがのぞましいと思う。
多くの地方自治では、除籍簿の廃棄が行われているが、保存期間を150年ではなく永久保存してほしい。

もう一つの例は、大きな事件や災害を犠牲者の多寡で測ってしまうようなところがある。
だが、数で示したその裏に、一人ひとりが歩んできたそれぞれの人生がある。
1万人には1万人の、5千人には5千人の個性、生き方、人生がある。
一人ひとりの名を刻むということは、それを確認するための作業である。

市民証明書、戸籍、免許、契約書、図面、地図、発掘資料、
美術・建築・都市・服飾、産官学の共同研究の資料ばかりでなく、
あらゆる公文書のすべてが人間が人間として存在したことの証、
それが記録資料「アーカイブズ」の意味するところである。
極論すれば「進化する人と進化しない人の違いは記録を残すか残さないか」とも言えるが、
「後世を意識するかしないか」の違いと言い換えることができるだろう。
私たちは、より一層後世を意識した生き方を実践していく覚悟が必要である。

このように世界の記録管理やアーカイブズの分野では、
記録やアーカイブズが本来的に持っている効果を改めて強く意識する傾向にある。

残念ながら、日本の記録システム(アーカイブズ制度と言える)は、
ひとの生きた軌跡を充分に活かすほどに整ってはいない。
逆に、個人情報の流出が相次ぐと「記録の破棄こそが重要だという一面的な議論」が先行しかねない。
しかし、情報流出などの問題も、実は根は一緒であり、
記録・管理やアーカイブズのシステムが貧弱なことが原因のひとつだ。

私たちは今、「記録と記憶の効果」について考え直すときがきている。

詩人 トーマス・スターンズ・エリオット(英:1888~1965)の言葉だ。

現在の時と過去の時とは
ともにおそらく未来の時の中にあり
未来の時も過去の時の中に含まれていよう。
かくあったかもしれぬということはひとつの抽象で
絶えざる可能性としてとどまるものなのだ。
過去の時と未来の時とは
僅かな意識しか許容しない
未来の時も過去の時の中に含まれていよう
意識するということは時の中にいることでなない。
しかし、瞬間が
記憶に残されうるのだ。・・・過去と未来に巻き込まれてだ。
ただ時を越えてのみ時は克服される

「未来の時は過去の中にある」とアーカイブズは言っている。

※ 現在戸籍制度を使用しているのは、中華人民共和国、中華民国(台湾)、日本のみ。
このうち、中華人民共和国の戸籍制度は、事実上形骸化している。

参考リンク

東京都公文書館 – Tokyo Metropolitan Archives

東京都公文書館 新館情報

佐藤総合計画|建築・環境をデザインする設計事務所 | 佐藤総合計画

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

1月17日、2月13日に、それぞれ有識者会議が開催されました。
詳しい議事録は、こちらのURLをご覧ください。
http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/information/library_complex/intellectual.html
現在、年度内の基本構想策定の内容の調整を進めています。
図書館や交流の場としての基本的な機能はもちろんのこと、
白馬村の背景にある、大自然に根ざした観光資源や外国人移住者を含む多様性や、
これから解決を目指す課題など、さまざまな独特の条件を織り込んだ、オンリーワンの基本構想を目指しています。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


活動報告

特別対談企画「地域連携と図書館 ——図書館の新たな役割」開催

機関誌『Cul De La』第2号、注目の企画です。
2019年2月9日、法人会員のキハラ株式会社にご協力いただき、
特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」を行いました。
ゲストとして、伊東直登氏、岡本真氏のお二人をお迎えしました。

伊東氏は、塩尻市の「えんぱーく」運営に館長として携わってこられました。
在任中に「Library of the Year 2015」の優秀賞を受賞しておられます。
現在は、松本大学図書館長をしておられます。

岡本氏は、 ヤフー株式会社でのご経験を生かして、
数々の図書館設立・運営のアドバイザーをしておられます。
アカデミック・リソース・ガイド株式会社の代表でいらっしゃいます。

図書館に、中と外から深く深く携わってこられたお二人の対談でした。
地域に図書館がどう貢献できるかというのは、
ひとたび足を踏み入れれば、一筋縄ではいかないテーマです。
この難しい取り組みが、お二方の経験、視点で語られることで立体的に照らされました。
同時に、20年、30年先に初めて結果の出ると言ってもよい図書館整備の
難しさとやりがいにも、思いを新たにしました。


機関誌『Cul De La』編集中です

弊社団の機関誌『Cul De La(カルデラ)』の第2号を編集中です。

今回のコンテンツ
—「オガール紫波」の「紫波町図書館」と福岡県須賀川市の「須賀川市民交流センター(tette)」の建築特集
—紫波町図書館の司書、手塚美希さんと
熊本森都心プラザ図書館の館長、河瀬裕子さんの対談記事
「地域でいきる、ライブラリアンシップ」、
—筑波大学名誉教授の植松貞夫さんにきいた、「図書館建築の評価ポイント」
—特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」 など
(記事タイトルはいずれも仮題です)

図書館の設計、運営、地域との関わり方は何を目指すべきなのか、
図書館をつくり、いかそうとする読者の方々の心に火をつける内容になることを確信しています。
原稿は出揃い、今、鋭意編集作業を進めています。
どうぞお楽しみに。

機関誌『Cul De La』の発行は4月を予定しており、会員の皆様には無償でお送りいたします。
会員以外の方、追加・新規のご購入は、弊社団までお問い合わせください。


メールマガジンのweb公開を始めました

昨年5月より配信しております、当メールマガジンの、web上での公開を始めました。
こちらのURLからご覧いただけます。
http://jcdlab.com/mailmagazines/

文化施設、地域創生に関わる方々にひらめきを与える電子ジャーナルとして、
今後、内容の充実を図ってまいります。
また、メールマガジンに寄稿されたい方、寄稿文に感想をお持ちの方のご連絡も歓迎いたします。
社団編集部まで、どうぞお問い合わせください。


活動報告

2019年2月12日
特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」を開催しました

2019年2月9日
坂田理事の『ムチョラジ!』が大阪府立中央図書館の朗読蔵書になりました!

2019年1月9日
メールマガジン『Cul De La 通信』のWeb公開を始めました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

年末に第8号のメールマガジンをお届けしてから、2ヶ月の間があきました。
皆様、お元気で新年を迎えられましたでしょうか。

今回は、鳴海雅人様の寄稿文をお届けしました。
公文書の、先人たちの数え切れない「生」の痕跡としての一面に、
イマジネーションを刺激されます。
表層的な色や形だけではなく、人のつながり、時代のつながりへ想像をふくらませ、
さらには、その豊かな広がりの最先端に私たちの生活があると考えると、
あらゆるもの・ことは、本質的に美が宿っているようにも感じられます。

鳴海様は、機関誌『Cul De La』第2号にも、エッセイをお寄せいただいております。
こちらもまた、風の香、海の音を感じるエッセイです。

編集部も作業のピークに差し掛かっています。
1月急ぐ、2月は逃げる、3月は去る、とも言いますが、
生活の中に潜む美しさをちょっと意識する余裕を、持っていたいものです。

編集部 髙城 光


奥付

Cul De La 通信
2019年2月25日発行 通巻第9号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第8号

今年も残りわずかとなりました。
仕事納めまであと一息という方も、休暇モードの方も、
体調を崩されないようご自愛ください。


目次

    寄稿文「帰りたくなる場所-まちの公共施設に『ある』ものとは―」
    – 大場黎亜(株式会社GPMOグローカル研究事業部プロジェクトマネージャー/宮城県南三陸町復興応援大使)

    白馬村プロジェクトの進捗ご報告
    – 花井裕一郎(一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

    活動報告

    機関誌第2号、製作中です

    年末のご挨拶

    編集部より

    奥付


寄稿文

「帰りたくなる場所-まちの公共施設に「ある」ものとは―」
大場黎亜(株式会社GPMOグローカル研究事業部プロジェクトマネージャー/宮城県南三陸町復興応援大使)

11月3日、文化の日。高校卒業以来、私には、毎年この日に帰る場所がある。母校で、
プロの指揮者やソリストを招き、生徒、卒業生、父母の総勢300名以上で、ベートーヴェンの交響曲第九番を合唱する「第九の会」である。高校時代に、この会のリーダーを務めて以来、私にとっての「第九」、私にとっての「このホール」、私にとっての「この日」がかけがえのないものになった。今年も社会人になった後輩が、なんとか都合をつけて駆け付けた。

制服も校風も、色々と在学時から変化していき、どこか寂しく、どこか遠ざかっていく母校への想いに、今年はもう出ないと思っていた彼女が、「先輩、やっぱり第九は良いですね」と、呟いたのが印象的だった。時と共に思い出が遠ざかり、面影が薄れていっても、私には私の、彼女には彼女の「第九」がある。私たちはその「第九」に、自分を見つめに、あるいは、自分を探しに、帰ってくるのである。

  私のまちづくりの原点は、東日本大震災だ。大学3年を目前にした、春休みに起きたあの出来事を機に、私は被災地へ足を運ぶようになった。教育に携わる道を志していた私は、地域に入り、地域の人々に触れ、地域を好きになればなるほどに、このまちの子どもたち、いや、子どもたちに限らず、このまちに生きる人々に必要な「場所」とは何なのかと、自分の中で模索するようになった。私がまちづくりの仕事に就いたのは、これがきっかけだ。

私のそんな問いにヒントをくれたのが、日本カルチャーデザイン研究所(以下JCDLab)理事長である花井氏の「ないのに、ある」という言葉だった。何もかも無くなってしまったようなこのまちにも、見えない歴史、文化、記憶、エネルギーが、ある。復興の中で目指すものは、元の姿がなくても「ある」まちづくりなのだと思った。そして同時に、「あるのに、ない」を作りたくはないと、強く思ったのである。

10月30日から11月1日に開催された「全国図書館総合展」において、JCDLabが主催した「図書館政策フォーラム—図書館建設のための財源調達法」は、タイトルのテーマに沿ってはいるものの、手法についての議論に留まらず、もっと図書館の本質を探るような会であったと感じている。もちろん、国の方針や補助金等の交付金について、その交付金を利用して事業を実現させた先進事例について、そして、そのようにして建った施設で運営をされている中でのお話について、それぞれのゲストの方から、丁寧かつ面白いお話がたくさんあった。しかし、大事だと思ったのは、お話しいただいた各自治体の事例において、「私たちのまちにとっての図書館」とは何なのかをよく考え、地域で創り上げていくプロセスを大事にしている様子である。良いことも悪いことも、そのストーリーはそれぞれの物語として、人の、まちの記憶に繋がっていく。「ないのに、ある」がある限り、私たちはその「ある」に惹きつけられて繋がることができる。私たちの仕事は、「ないのに、ある」を見出して紡いでいくことなのではないかと考える。先日のフォーラムでは、各自治体の取り組みが、そのまちに関わる子どもから大人まで、あるいは、そのまちに縁ができたいつかの訪ね人が、帰ることのできるような場所を作っているように思えた。自分たちのまちに、「ある」が見えているからこそできる取り組みなのではないかと思った。

「私にとっての第九」は、「私にとっての図書館」、「私にとっての学校」ともなり得る。ホール、図書館、学校、公民館・・・私たちが仕事で関わるどの施設においても、そこで得た体験が記憶となり、愛着に繋がることが、結果として、個やまちに愛される「帰るべき場所」となり得る。私には私の、皆さんには皆さんのまちづくりがある。しかし、まちづくりは、一人ではできない。自分たちの目と肌と心で感じた「ある」を信じながら、1つ1つの音を集めて一つの曲を奏でるように、「帰りたくなる場所」を築いていくことが、それぞれの想いを一つのまちづくりに繋げ、世の中をより良くしていくことだと思っている。私たちの仕事は、そういう仕事であると思っている。

参考リンク

株式会社GPMO 公式ホームページ


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村でのワークショップを終え、基本構想の今年度中の完成を目指して進行中です。また続報をおしらせします!

花井裕一郎(一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


機関誌第2号、製作中です

弊社団の機関誌『Cul De La』は、来年4月に発行予定です!
11月26日に第2回編集会議を行い、思わず「おお!」と声のあがるような企画が採用されました!
12月13日、14日には、社団一同、岩手県紫波町の「紫波町図書館(オガール紫波内)」と、福島県須賀川市でオープン間近の「須賀川市市民交流センター(愛称 tette)」を視察しました。

それと同時に、紫波町図書館 主任司書の手塚美希さん、くまもと新都心プラザ図書館館長の河瀬裕子さんをお招きして、お二人の地域での働きを取材させていただきました。

1月にも取材を控え、また、文章をお寄せいただく方々へのご依頼も行い、編集委員会一同、第2号を作り上げる道のりを楽しんでいます。


年末のご挨拶

今年も残すところ数日となりました。

本メールマガジンをお読みいただいている皆様におかれましては、大変お世話になりました。
弊社団の2018年は、結団してまもない社団の体裁を整えあげることから始まりました。
それと同時に、図書館総合展の企画プロジェクトが立ち上がり、年の真ん中の6月、
白馬村の図書館基本構想策定に弊社団が選定されました。
この白馬村のプロジェクトをもって、弊社団の本格的な活動にやっとエンジンがかかったといえます。

その後は、白馬村でのワークショップ、図書館総合展のフォーラム主催など、
熱い志と推進力を糧に、活動を進めてまいりました。

思い返せば、私たちの活動は常に、社団の外の方々とのつながりに支えられています。
弊社団の活動理念の通り、私たちの仕事は、図書館、文化施設に関わる方々を「ブリッジング」していくことです。
橋をかける岸辺がなくては、社団の実体もないのです。

この一年、弊社団の活動の礎となってくださった皆様方に、心よりの感謝を申し上げます。
最後になりましたが、新しい一年の皆様の益々のご健勝を祈念いたしまして、年末のご挨拶とさせていただきます。よいお年をお過ごしください。

一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 一同


2018年12月27日
紫波図書館(オガール紫波)、須賀川市市民交流センター「tette」の視察を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/


編集部より

機関誌『Cul De La』の企画として、紫波町図書館での対談の司会をさせていただきました。

図書館のあるべき姿を目指し、それを実行するエネルギーのあふれる姿に圧倒される、感動(と緊張)の数時間でした。

途中のトラブルにも関わらず、至らない点もあたたかく受け入れ、図書館の豊かなあり方の理想にせまるお話を聞かせてくださったお二人に、心より感謝いたします。

お二人の言葉からは、心の底に根ざした信念と、まだここにない理想の図書館へのビジョンが感じられました。

今回の対談記事で、その核心を多少なりとも感じていただければよいのですが、お話を伺いながら、まだまだ窺い知れない深い本質があると感じました。

私自身も、聞き手としての腕をあげて、お二人の元に再訪したいです。

最後になりましたが、2018年、社団の活動を支えてくださったみなさま方に、深い感謝を捧げます。

みなさまの元に、豊かな新年が訪れますよう、お祈り申し上げます。

編集部 高城 光


Cul De La 通信
2018年12月28日発行 通巻第8号
発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

 

Cul De La 通信 第7号

地面に落ちた葉が、赤に、黄色に、橙に色づいています。
この季節、冷たい木枯らしに、思わず顔を伏せてしまうこともありますが、
その時に、はっとするほど美しい一枚を見つけることもあります。


目次

寄稿文「“木のおもちゃ大国”を目指す!」

– 多田千尋(NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長・東京おもちゃ美術館 館長)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

会員総会のご報告

編集部より

奥付


寄稿文

「“木のおもちゃ大国”を目指す!」
多田千尋(NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長・東京おもちゃ美術館 館長)

日本の木の自給率は30%を超えたが、木のおもちゃの自給率は3%を切る。
日本が砂漠地帯であればいざ知らず、
現状は、世界がうらやむ世界第2位の森林の宝庫だ。
日本人が不器用であれば諦めも付くが、世界屈指の木工技術を持つ国なのはいうまでもない。
こうした現状に風穴を開けるために、国が進めている「木育」と連動し、おもちゃのささやかな“革命”を起こそうと思っている。

全国の約1700の市町村に訴え、「ウッドスタート」宣言をしてもらうよう迫っている。
誕生祝品は地域材の木のおもちゃにしてもらうことや、学校の校舎や椅子、机もできる限り地域材を活用する。
さらには、ラストの「木育」は地域材の“棺桶”で人生最期を迎える「ウッドエンド」
もまじめに論議している。
こうした「生涯木育」に、ようやく50に迫る市町村が調印をしてくれた。

新宿区は2014年から友好都市の長野県伊那市の力を借り、3,000人の赤ちゃんに木のおもちゃを寄贈している。
小田原市(神奈川県)や秩父市(埼玉県)も誕生祝品に、地域材の木のおもちゃの寄贈を実施してくれている。
国頭村(沖縄県)や長門市(山口県)、由利本荘市(秋田県)は誕生祝い品に加え、
木育推進の役目を果たす「姉妹おもちゃ美術館」を誕生させた。
東京オリンピックの開催までには8館になる予定で、日本の木のおもちゃの普及啓蒙に努める。

『KItoTEto』という「木と手」をつなぐおもちゃのブランドを立ち上げた。地域材でおもちゃを作る約束をした作家たちの参画によるもので、
現在6作家、13アイテムまで作品が増えた。
このような取り組みは必ずや化学反応を引き起こし、日本をヨーロッパ並みの“木のおもちゃ大国”にしていくことを目指す。
世界が羨む森林資源を活かし、日本の土壌や空気で育った樹木で生まれるおもちゃが、
もっと子どもたちの周りにあってもよいと思っている。
木のおもちゃの自給率3%を何とか30%にするまで、この歩みを止めない。

関連リンク

東京おもちゃ美術館

KItoTEto


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

11月13日、白馬村で3回目のワークショップが開催されました。
SDGsの切り口からはじまり、住民への聞き取りを経て、
今回、これからの施設に欲しい機能を発見するというものでした。

ワークショップは今回で終わりですが、
メンバーからは、このメンバーでまた集まり、語り、
何かを創造したいという願いが語られました!

基本構想策定に向けて、まだまだ進みます。
引き続き、メールマガジンでもご報告してまいります。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


図書館総合展でフォーラム開催!

去る11月1日、『第20回 図書館総合展』にて、
「図書館政策フォーラム-図書館建設のための財源調達法」を開催いたしました。
公的交付金を提供する文部科学省、国土交通省のご担当者をお招きして、
交付金の基本的な考え方を伺いました。
また、全国の図書館の中から、公的な交付金を受けて運営する先進的な図書館を、
自治体の首長、図書館の館長をお招きしてご紹介いただきました。

みなさまのお話しはとても熱く、勇気を奮い立たせられるものでした。
価値あるお話がぎゅっと詰まった90分でしたが、
社団の私たち自身も、まだまだお話を伺いたいところでした。

また、予想を超えるお申し込みをいただき、お断りせざるを得なかった方々も多く、
大変申し訳なく感じております。
今後も、みなさまに価値ある情報をお届けできるよう、社団一同取り組んでまいります。
引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。

2018年11月5日
フォーラム「図書館政策フォーラム-図書館建設のための財源調達法」(『第20回 図書館総合展』フォーラム) 


会員総会のご報告

11月1日、横浜ランドマークタワー25F カンファレンスルームCにて
第1回 会員総会を開催いたしました。

決算報告、来年度予算案、監査報告が、全会一致で承認されました。

その後、糸賀雅児 慶應義塾大学名誉教授にご登壇いただき、
「なぜ読書が大事なのか?」というテーマにて、レクチャーをしていただきました。

ご出席くださった会員のみなさま、ありがとうございました。


活動報告
2018年11月5日
第1回 会員総会を開催いたしました

2018年11月19日
白馬村図書館および複合施設に関するワークショップ(第3回)が開催されました。

2018年11月14日
花井理事長が、高知県須崎市で講演会を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください


編集部より

我が家には、3歳と1歳になる2人の子どもがいます。
その子どもたちは、私と、私の父が遊んだ積み木を、今も現役で使っています。
親子3代、60年も使われた積み木は、角が丸くなり、くすんだ色で光っています。

木は、汚れやすく、燃えやすく、変色しやすいですが
それゆえに、年月や使い手の扱いをその身にやどします。
相手との関わりの中で、おもちゃ自身が変化していく様子…まるで、生きているようです。
赤ちゃんに木のおもちゃを贈るのは、
物言わぬ、辛抱強い、一生の友達を贈るようなものかもしれません。
(しかもこの友達、60年経とうが元気いっぱい、子どもと遊んでくれます。)

社団編集部では、機関誌『Cul De La』第2号の発行準備が始まりました。
今後は、その様子もお伝えしていきたいと思います。
次号もどうぞ、お楽しみに。

編集部 高城 光


奥付

Cul De La 通信
2018年11月25日発行 通巻第7号
発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第6号

朝晩はすっかり涼しくなり、さわやかな秋となりました。


目次

寄稿文「インドの村での20歳の出来事」

– 高橋和也(自由学園学園長)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

会員総会のご案内

編集部より

奥付

 


寄稿文

「インドの村での20歳の出来事」

高橋和也(自由学園学園長)

1982年、20歳の学生だった私は友人と2人、南インドのオダンチャトラムという村にあるキリスト教系の病院で約3週間を過ごすスタディーツアーに参加する機会を得ました。

初めての海外体験だったこともあり、このときの様々な経験は、私のその後の人生に大きな影響を与えるものとなりました。中でも印象深く心に残っているのは、巡回診療に同行させていただいた小さな村での一つの失敗の思い出です。

ドクターたちは病院での診療に加え、古いバンに医療器具や薬を積み込み、病院に足を運ぶことのできないお母さんや子どもたちのために定期的に村々への巡回診療を行っていました。ドクターが診療する間、集まってくる子どもたちと遊ぶのが私たち学生の役割でした。

初めて巡回診療に行った時に、私たちはソーシャルワーカーに教えられるままに赤茶けて乾燥しきった地面に15、6人の子どもたちと一緒に輪になって座り、「オラゴリア・ムンドゥリカ」という「ハンカチ落とし」ならぬ「シャツ落とし」をすることになりました。

子どもたちはうれしそうに私たちを狙ってシャツを落とし、狙われた私たちは砂ぼこりの中、掛け声と共に何度も子どもたちの輪の周りを走り続けることになりました。この遊びに終わりはなく、私は体中汗と砂にまみれ、喉も枯れ、もうへとへとでした。そんな私たちの様子を見て、子どもたちはますます楽しそうでした。ようやくドクターたちの診察が終わり、引き上げの合図が出されたときには本当にほっとしました。遊びは1時間ほど続きました。

逃げ込むように私たちはバンに乗り込みましたが、そのとき予想外のことが起こりました。

輪になっていた子たちが別れを惜しみバンの周りに駆け寄り、走り出そうとする車の窓にしがみつき、バンパーの上に乗りかかり、「タタータター」(タミル語で「バイバイ」)と大騒ぎになったのです。子どもたちは動き出した車をいつまでも追いかけてきました。心が通い合ったことが感じられ、泥にまみれながらも充実した疲労感に満たされました。

しかしその後、何度目だったか巡回診療に同行したときには、私は体調を崩した後だったこともあり、あの泥まみれの遊びはかなわないと思い、子どもたちと一緒に折り紙を折ることにしました。

ところが村に着き、集まった子どもたちに折り紙を配り始めると、まったく予想していなかったことが起こったのです。子どもたちは「一人一枚持ったら座りなさい」と言ってもお構いなしで、何度も折り紙に手を伸ばし、取り合っては破れた紙があたりに散乱する、という状態が延々と続いたのです。

子どもたちにとって四角くきれいな紙は珍しいもので、その紙を手に入れることに夢中になってしまったのです。大変なことになったということはわかったのですが、事態は収拾できませんでした。むなしく時間が過ぎ、たくさんあった折り紙はどんどん減っていきました。

そしてやっとドクターの「帰るよ」との声がかかった瞬間、また驚くべきことが起こりました。私の手の中の折り紙に群がっていた子どもたちが、蜘蛛の子を散らしたといった様子で一人残らず消えて行ったのです。

沈黙の中、破れて地面に散らばった折り紙を拾い集め、私はバンに乗り込みました。子どもたちの心を乱してしまったこととドクターたちへの申し訳なさでいっぱいでした。帰りのバンの中は重苦しい沈黙となりました。

「オラゴリア・ムンドゥリカ」の後に心が通ったのは一体なぜなのか。「折り紙」が子どもたちの心から何を引き出したのか。人と人、物と人の本当によい関係とはどのようなものなのか。豊かさとはなにか。20歳の夏、私は様々な問いを抱えて日本に帰ってきました。この経験はその後の私の原点となりました。

あれから30年以上が過ぎましたが、私は今もインドの子どもたち、お世話になったドクターたちへの感謝と懐かしさを抱えつつ、このインドの小さな村から続く道を歩いています。

インドの村での写真
インドの村での写真

関連リンク

寄稿文内のスタディツアーを引率された、佐藤智先生は、一般社団法人ライフケアシステムを立ち上げ、在宅医療の先駆者として活躍されました。

一般社団法人 ライフケアシステム _ 自分らしい人生を最期まで送っていただくために健康と医療を総合的にサポートします。

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

10月19日、白馬村役場にて、第2回のワークショップが開催されました。

参加者それぞれが、SDG’sのレクチャーを踏まえて、たくさんの人にリサーチする!という宿題に、みなさんそれぞれが活発に応えてくださいました。

今回はいくつもの意見を、整理、交換しする時間としました。

本日10月25日には、第2回の有識者会議も実施されました。その模様は、またホームページ等でお知らせしていきます。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


図書館総合展でフォーラム開催!満席御礼!

※ おかげさまで、本フォーラムは満席となりました。
お申し込みくださった皆様、ありがとうございます。

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が
10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

JCDLab主催のフォーラムは、
全国の自治体が悩み、情報収集をする交付金などの資金調達についての
ご相談をお受けし、独自の調査を元に、
「社会資本整備交付金」(国土交通省)「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」
等をはじめとする様々な交付金の申請、調達をご提案しております。

今回のフォーラムでは、資金調達に成功した図書館、担当省庁担当者をお招きし、
具体的な事例や助言をご紹介頂きます。
各地方自治体の首長、省庁の担当部局を始め、
そうそうたる登壇者が決定しています。

複合施設建設を先導してきたリーダーが、資金調達の実情について語ります。
図書館設立に関わる皆様方に、必聴のフォーラムになることは確実です。

ファシリテーター
糸賀 雅児 慶應義塾大学名誉教授

ゲストスピーカー
・文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 青少年教育室 室長補佐
(併)青少年体験活動推進専門官
・国土交通省 都市局 市街地整備課 企画専門官(まちづくり交付金担当)
・神奈川県大和市長
・奈良県生駒市長
・吉成信夫 岐阜市立中央図書館 館長

※ご参加者様につきましては、フォーラム参加費 1,000円 を当日の受付の際に承ります。

最新の情報はこちら
図書館政策フォーラム | 図書館総合展

 


会員総会のお知らせ

「一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 第1回会員総会」

日時:2018年11月1日(木)16:00~17:00

会場:横浜ランドマークタワー カンファレンスルームC

住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号 25F

※会員以外の皆様も社団の活動をご理解いただくためにご参加を歓迎いたします。

パシフィコ横浜より徒歩5分程度

 


活動報告

2018年10月20日

白馬図書館及び複合施設に関するワークショップ(第2回)が開催されました

 

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

本日は、自由学園の学園長でいらっしゃる 高橋和也様のご寄稿文をお送りしました。

日本は、物にあふれた豊かな国です。しかし、物が増えるとともに、一つ一つの物の価値は下がっていくのかもしれません。

豊かさの総量は、単純に物が増えていくことに、比例するものでもないように感じます。

豊かな国の中にいて、さらに豊かに生きるためには、すでにある物の価値を高めていくことが肝要なのではないか…

今回のご寄稿文に、さまざまなことを思いました。

さて、私どもの図書館政策フォーラム、おかげさまで満員御礼となりました。同日の夕方、会場近くで会員総会も予定されております。こちらの方は、会員以外の皆様にも公開しております。

皆様のお越しをお待ちしております。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年10月25日発行 通巻第6号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第5号

この夏、日本列島は、多くの自然災害に見舞われました。
被害にあわれた皆様は、どのようにお過ごしでしょうか。
少しでも早く、平穏を取り戻されることを祈念しております。


目次 

寄稿文「公共図書館の倫理とマイクロ・ライブラリーの矜持」

– 礒井純充(まちライブラリー提唱者)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

編集部より

奥付

 


寄稿文

「公共図書館の倫理とマイクロ・ライブラリーの矜持」

礒井純充(まちライブラリー提唱者)

ジェーン・ジェイコブスという人をご存知でしょうか?「アメリカ大都市の死と生」(1961=2012)の著者として都市計画、まちづくりに携わった人ならば一度は聞いたことのある人です。彼女は、米国のジャーナリストであり、また近代都市計画への痛烈なる批判家でもありました。著書の中でジェイコブスは、米国とりわけニューヨークを舞台とした近代都市計画がいかに地域のコミュニティを破壊してきたか、そしてその「計画性」ゆえに無駄な都市公園や公共施設を作ってきたかを問いただしています。例えば、街路を広げたことにより従来なら往来する人同士が挨拶や会話ができたのにそれを車の通行に奪われ、そこで子どもたちが遊び、アパートの前の階段に座る大人がその様子を見守るような関係性はなくなってしまったと指摘しています。彼女は、近代都市計画は、生活者の実態に即していない、生活者は生き物であり、都市の「自然観察」から導き出されたまちづくりが必要だと唱えたのです。

日本には、現在3300を越える公共図書館があります。多くの人に本を活用してもらって教養形成や人生設計に役立ててもらい、著作物を保存蓄積し次代の人々にも文化伝承をしていこうという専門倫理観を形成してきました。しかし今、公共図書館にも大きな転機がきたと、多くの方が指摘しています。民間の力でもっと自由で効率的な運営をやるべきであるとか、イベントや交流の場所として市民に開放し、まちづくりに活用していくべきであるとか様々意見と実践が交錯しています。ただ「公共図書館」は、行政組織です。変化への対応には時間がかかります。

一方、近年増加しているマイクロ・ライブラリーは、私的な活動であり、自由に運営されています。本を持ち寄り、各自が本を紹介しながら人のつながりを作ろうとする活動から個人で数万冊の本を集め、地域の人が貸し借りしているところもあります。場所も自宅、職場、お寺や病院、公園や山の中、商店街や商業施設まで多岐にわたって展開されてきています。マイクロ・ライブラリーの数を正確に把握するのは、困難ですが、私が提唱している「まちライブラリー」は、2011年に13カ所程度であったものが、2018年3月現在、560カ所を越えるまでに増えています。ある人は、亡妻の遺した本を捨てられず、自宅をまちライブラリーにし、ある人は両親が遺した米屋の店舗をまちライブラリーとギャラリーに改装し、地域に開放しています。それぞれの生活の知恵と工夫で場が生まれ、育っているように感じるのです。都市計画から生まれた場所ではなく、ジェイコブスが指摘したように生活の中に自然と生まれる場所になっているのです。このようなマイクロ・ライブラリーを観察し、本がある居場所に何が求められているのかを見続け、育んでいくことが大切だと感じています。そしてその活動の輪に、公共図書館も既に入ってきています。

公共図書館とマイクロ・ライブラリーは、まったく正反対のアプローチで広がってきましたが、生活空間に本を増やし、人と本、人と人が出会う居場所作りを協働していけるような気がします。“I have a dream”、いつの日かマイクロ・ライブラリーが多くの人にとって生きがいの場となることを夢見ています。皆様のご協力や応援をお願いします。

参考リンク
まちライブラリー

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村の図書館等複合施設プロジェクトは、今年度内の基本構想策定を目指して進んでいます。

8月30日には、白馬村役場で有識者会議が開催され、率直な質問や意見がたくさん飛び交いました。

9月12日には、村民の皆さんを招いたワークショップを開催しました。SDGsから白馬村を考え、図書館、複合施設のあり方へと繋がります。若い世代が語る、熱いワークショップになりました!

これからは、10月19日の第2回ワークショプ、そして20日のヒアリングなど、プロジェクトは止まらず、進んでいきます。

また引き続き、本メールマガジンでもご報告してまいります。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


活動報告

2018年8月31日

白馬村図書館等複合施設に関する有識者会議が開催されました

2018年9月14日

白馬図書館及び複合施設に関するワークショップが開催されました

2018年9月15日

坂田理事がアジア建築家会議でスピーチしました

 


図書館総合展でフォーラム開催!

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が

10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

JCDLab主催のフォーラムは、

全国の自治体が悩み、情報収集をする交付金などの資金調達についてのご相談をお受けし、独自の調査を元に、「社会資本整備交付金」(国土交通省)「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」等をはじめとする様々な交付金の申請、調達をご提案しております。

今回のフォーラムでは、資金調達に成功した図書館、担当省庁担当者をお招きし、具体的な事例や助言をご紹介頂きます。各地方自治体の首長、省庁の担当部局を始め、そうそうたる登壇者が決定しています。

複合施設建設を先導してきたリーダーが、資金調達の実情について語ります。図書館設立に関わる皆様方に、必聴のフォーラムになることは確実です。

満席となる前に、お早めにお申し込みください!

ファシリテーター

糸賀 雅児 慶應義塾大学名誉教授

ゲストスピーカー

文部科学省生涯学習政策局

国土交通省大臣官房社会資本整備総合交付金棟総合調整室(予定)

総務省自治財政局(予定)

吉成信夫 岐阜市立図書館 館長

他、自治体関係者に交渉中

※ご参加者様につきましては、フォーラム参加費 1,000円 を当日の受付の際に承ります。

最新の情報はこちら

図書館政策フォーラム | 図書館総合展

 


その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


 

編集部より

今号のCul De La通信では、礒井純充様の寄稿文をお届けしました。

冒頭の、ジェーン・ジェイコブスによる告発を始め、大局的な施策が生活の実態への配慮を欠く例は、枚挙にいとまがありません。

しかし近年、行政が生活者レベルの視点を獲得しようとする動きが高まっています。寄稿文でも、巨視的な公共政策が微視的な地域活動へ歩み寄る現状が示されました。「SDGs」が169ものターゲットに細分化されるのも、世界の変革に対し、生活地域レベルの達成が不可欠であるという意識の表れです。

日本の行政も、こうした目標達成の支援へ動いています。私たち自身は、まさにこうした歩みに寄り添う活動をしています。白馬村では、生活者の視点を計画に映し出す取り組みを重ねています。図書館総合展でのフォーラムもまた、政策をくらしにつなげるものです。一つ一つの歩みはいつか、地に足のついたくらしと、世界を俯瞰する眺望をつなぐ、大きな橋を描くでしょう。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年9月25日発行 通巻第5号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第4号

厳しい暑さは続いていますが、
朝夕は木立の影が長く伸び、秋の気配を感じます。

 


目次

寄稿文「図書館のイノベーションを推進できる人材の育成について」

– 朴世晋(株式会社早稲田大学アカデミックソリューション(WAS))

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

編集部より

奥付

 


寄稿文

「図書館のイノベーションを推進できる人材の育成について」

株式会社早稲田大学アカデミックソリューション(WAS) 朴世晋

いま、公共図書館のあり方について問い直されようとしている。前例のない社会的課題の出現、テクノロジーの進化、予算の削減など公共図書館を取り巻く環境の変化が著しい。

こうしたなか、文部科学省から出された報告書等でも一部触れられているとおり、未来の図書館のあり方のひとつとして、「読書支援」から「社会課題の解決支援」に役割をシフトさせ、レファレンス機能などの従来の強みと新たな知を融合することでサービスのあり方を変革し、社会への貢献が持続的に可能な経営モデルを構築することが求められてくるであろう。公的な機関として変化と競争の少ない環境におかれてきた図書館にも、こうしたイノベーションを推し進めることのできる人材の育成が必要になりつつあると考える。

図書館スタッフは地方自治体から与えられた方針のもとでオペレーショナルな仕事を担うことが多く、そうしたスタッフがリーダーシップを取って図書館の変革を実現することは難しいのでは、とのお考えを示される方は少なからずいらっしゃる。しかし、図書館と同じ非営利の組織である大学の職員人材育成に取り組んできたWASの経験を踏まえれば、イノベーションをリードできる図書館スタッフの育成は十分に可能ではないか。

大学も18歳人口の減少や社会ニーズの高まり、補助金の削減など近年の環境変化により、教育・研究・経営のあり方について変革が求められており、こうしたイノベーションをリードできる人材の育成が喫緊の課題となっている。

大学は民間企業とは違い、利潤に関連した明確な達成指標を持ちにくい非営利の組織であり、社会を良くするために「我々の信じる価値」を実現できるかどうかが、組織と構成員を突き動かす力の源泉となっている。

大学において「我々の信じる価値」の拠りどころとなるのが「建学の精神」であるが、その制定から時が経つにつれて、想起できる具体的なイメージが薄れたり、当初込められた意味合いや意義が見失われたりしてしまうケースがある。その結果、組織の力の源泉としての機能が弱まり、構成員の能力向上に関する動機も生まれにくくなってしまうことが指摘されている。

したがってWASでは、大学職員人材育成のファーストステップとして「我々の信じる価値」を具体的で「ありあり」としたビジョンとして、構成員全員で共創し腑に落としていくプロセスを踏むことにこだわっている。そうすることで構成員を突き動かす力も高まり、人材育成に対する内発的な動機もおのずと醸成されると考えている。

図書館における人材の育成にも、大学職員の人材育成と同じ考え方が適用できるのではないか。

図書館スタッフの方々とお話をすると、図書館や自身の果たすべき使命を自分なりに定義し、利用者、蔵書、建屋、仲間などに対する矜持を具体的にもっていることに心を打たれる機会が多くある。こうした使命や矜持は、非営利組織の「我々の信じる価値」に通じるものであるとともに、図書館を変革に突き動かしていくために不可欠な無形の財産でもあり、また、図書館運営に携わるスタッフ以外の人間には持ちにくい固有のものであろう。

人材育成を支援するWASとして、図書館スタッフが「我々の信じる価値」を内省し共創することを手助けできれば、組織が自律的に変革していくために必要な風土やマインドセットを醸成できるのではないかと思っている。ひいては、こうした風土やマインドが、図書館スタッフの経営感覚やイノベーション実現に向けたリーダーシップを自ずと高めていく基盤になりうるのではないかと期待している。

WASではこうした考え方のもと図書館のイノベーションをリードできる人材育成プログラムを提供できないかどうか、日本カルチャーデザイン研究所の先生方のご意見を賜りながら模索しているところである。本メールマガジンをご覧いただいて少しでもご関心をお持ちの方に、ぜひご意見やご助力を賜れれば幸いである。

参考リンク

早稲田大学アカデミックソリューション | Waseda University Academic Solutions Corporation Website

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

7月21日~26日に開催された、「NAGANO国際音楽祭 in白馬」にて、

村民の皆様にアンケートを実施しました。

新しい複合施設が担う役割、期待する機能、村の魅力など…

そして、280あまりのご回答をいただきました。

今、内容を集計しています。

社団のメンバーは、8月29日に白馬村役場と打ち合わせ。

8月30日には、有識者会議も予定されています。

アンケートの内容もこの会議で話し合う予定です。

有識者会議は、傍聴も受け付けています。

どんな2日間になるか、楽しみです。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


活動報告

2018年08月22日

白馬村の複合施設に関する有識者会議の傍聴を受け付けています

図書館総合展 フォーラム「資金がない?あきらめるな!図書館建設に必要なお金は目の前にある。」開催のお知らせ

 


図書館総合展でフォーラム開催!

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

私たちJCDLabは、これまでの資金調達支援の経験を生かし、フォーラムを開催いたします!

ファシリテーターとして、糸賀雅児(慶應義塾大学名誉教授)氏をお迎えします。

資金調達に成功した図書館や、省庁のご担当の方々をお招きし、具体的な事例や助言をご紹介いたします。

現在、このフォーラムを充実したものにするために、打ち合わせを重ねているところです。(8月24日にも、ミーティングを行いました。)

他では得られない情報を皆さんとシェアしながら、鋭く、わかりやすく、資金調達について学ぶ場をつくりたいと思います。

どうぞ、ご参加ください!

詳細はこちら

資金がない?あきらめるな!図書館建設に必要なお金は目の前にある。 | 図書館総合展

 


その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

白馬村のプロジェクトが、いよいよ本格的に動き始めました。

白馬村では、すでに昨年度から、図書館施設のあり方について、検討が始まっていました。その議事録(webで公開されています)を、先日読み返しました。

本を貸し出すというだけではない、地域の問題解決役としての図書館への期待が、住民のみなさんの中にあることが感じられました。

図書館が「無料貸本屋」でないことは、今や一般的な認識になりつつあります。そんな中、図書館設立に関わる私たちは、潜在的な利用者も含む、様々な関係者の価値観をくみ取り、立場とスキルを活かして「具現化」する役割を担わなくてはなりません。

また、これまでの白馬村図書館へのまなざしも忘れてはなりません。

図書館の立ち上げは、創造的でドラマチックですが、同時に、イノベーションは始まった後が肝要であり、「志」を維持できるかどうかに、図書館の成熟がかかっているといってもよいでしょう。

大学における「建学の精神」のような、精神的な基礎と、そのビジョンを「具現化し続ける」人の地道な育成が必要です。

ダイナミックに、堅実に。その歩みが始まっています。

編集部 高城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年8月27日発行 通巻第4号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第3号

あまりの暑さに、夕立を恋しく思います。

 


目次 

寄稿文「図書館の可能性を広げるために」
 – 高野洋平(建築家/高野洋平+森田祥子|MARU。architecture共同主宰)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

活動報告

編集部より

奥付

 


寄稿文

図書館の可能性を広げるために
高野洋平(建築家/高野洋平+森田祥子|MARU。architecture共同主宰)

図書館を思い浮かべる時に、そのイメージはきっと人それぞれで興味深い。
ある人は、整然と並んだ沢山の本棚を思い浮かべるかもしれない。ある人は、学生時代に受験勉強をした記憶を思い浮かべるかもしれない。ある人は、自分が通った閲覧席の窓の外の景色を思い浮かべるかもしれない。ある人は、カウンターに座った馴染みの司書さんの顔を思い浮かべるかもしれない。

図書館の設計をする時にいつも考えることは、そこに生まれる個人的な「場所」のことだ。全国の沢山の図書館の中には、それぞれ沢山の場所があるが、これからつくる図書館は、そこにしかない場所を更に豊かで魅力的なものにしたい。

図書館は、整理された情報を誰もが探しやすいことが必要である。つまり、あるシステムを持った空間であることが求められる。このシステムをどのように捉えるかが、設計の中では重要になってくる。放っておくと客観的にわかりやすいシステムの達成が最も重要になってしまい、個人的な感覚に訴える「場所」の豊かさが損なわれることにもなってしまうからだ。

個とシステムを巡る葛藤。このことは、図書館だけではなく、様々な場面で起こっていることでもある。沢山の人が生きていく社会の中では整然としたシステムが必要だけれど、一方で、世の中は矛盾に満ちた、一人一人の集合でもあるのだ。システムが強い時代だからこそ、個人性や場所性の持つ可能性をもっと考えてみたい。

これからの図書館を考える時には、全体のシステムも、場所の個性も、対立するものではなく、同時に考えていきたい。例えば、図書館毎の個性を活かした「テーマ配架」や、そのまちの特徴を活かした「まちじゅう図書館」のような、それぞれの場所を豊かにする、魅力的な仕組みとしての新しいシステムを生み出したい。そのためには、システムことを、既に決まったものとして考えるのではなく、関係者で一から議論をしていくことが大切なのではないかと思う。これまでの常識を一旦はずして、その街ならではの特徴を考えていくことで、図書館の可能性は飛躍的に広がるはずだ。

参考リンク

建築設計事務所(東京・名古屋) 高野洋平+森田祥子 MARU。architecture

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村プロジェクト、進行中です。
本日も、花井理事長らメンバーが、NAGANO国際音楽祭 in白馬に合わせて白馬村入りしています。
近々有識者会議も予定されています。
村民の皆様のワークショップに向けた情報収集も…。
皆様にご報告できるのが楽しみです。

NAGANO国際音楽祭

 


活動報告

2018年07月06日
坂田理事が政策研究大学院大学でミニ講義を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

公共図書館で個人が知的な活動をのびのびと行うためには、資料だけではなく、環境や、自分自身の心の状態も整っていなければなりません。こうした条件は、私たちの極めて個人的な感覚によるものです。

例えば必ずしも、「閲覧席」が資料を読むのに適しているとは限らず、ある人にとっては、本棚の間の通路や、図書館の外の喫茶店が、知的活動の場だということもあるでしょう。

さあ、これからやるぞ、というときに公的に用意された閲覧席やワークスペースをいったん抜きにして、あなたが本当に行くべき場所は、どこなのでしょうか?

ある図書館において、自分の知的欲求が満たされる環境を発見し、そこに至るまでの道のりやふるまいを身につけるとき、公共図書館は「私の」場所になるのではないでしょうか。

猛暑が続いています。皆様ご自愛ください。

編集部 高城 光

 


奥付

Cul De La 通信
2018年7月25日発行 通巻第3号