Cul De La 通信 第9号

あちこちで梅の花が薫っています。厳しい寒さも次第に和らいでまいりました。


目次

    • 寄稿文「少ないものに集中し、多くの可能性を引き出す

 

    • ——『レス・イズ・モア』実用の極美(きわみ)東京都公文書館」

 

    • – 鳴海雅人(株式会社 佐藤総合計画)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告
– 花井裕一郎

活動報告

特別対談企画「地域連携と図書館 ——図書館の新たな役割」開催

機関誌『Cul De La』編集中です

メールマガジンのweb公開を始めました

編集部より

奥付

 


寄稿文

「少ないものに集中し、多くの可能性を引き出す ——『レス・イズ・モア』実用の極美(きわみ)東京都公文書館」

鳴海雅人(佐藤総合計画)

絵画・彫刻・書道といった美術にかかわるものが私たちの暮らしの中にないからといって
私たちが生きていけないわけではない。
その類いのものを知らなくても豊かな生き方をしている人たちは大勢いる。
ただその人たちも、美術という近代になって系統づけられたものを鑑賞していないだけで、
よくよく見ると、その人々の周囲には「美の基礎」といったものがしっかりと存在している。

美術鑑賞に特別な勉強はいらない。
子供も目がすべての対象物を見つめるのと同じように、素直な目で鑑賞すればそれでよい。
美しいものはそれ自体が私たちに語りかけてくれる。そうして私たちの身体のなかには、
美しいものを発見し、理解できる能力が生まれながらに備わっているのだ。
「ほんもの」を見ることだ。それが美しいものへの感受をより深いものにしてくれる。
「ほんもの」の中でも、今まで「芸術性」を前提としていない公文書というものに、
わたしは、東京都公文書館の設計をきっかけに意識するようになった。
世界の行く末を、日本の行く末を決定した締結文書を美しいと感じる。
勅語、実用文書は、芸術性を前提としていないものだけに、
ある見方をすると「究極の美しさ」をかもし出す。
これは建築美に似ている。
単純化したもののなかに美を見出そうとする日本文化の粋のようなものだ。

東京都公文書館のテーマは「森のなかのアーカイブの森」、
建築の構成として、200万点を超える保存部門が2階3階の2層の大半を占め、
利用部門(公開機能と事務管理機能)は1階のガラス張りの透明な部分であり、
まずは建築自体が博物館のようなソリッドな美しい造形を描く。

国分寺市の都立武蔵国分寺公園の西側、東山道沿いに公文書館は計画される。
隣接する都立多摩図書館は完成したが、2館が並んで、より相乗効果を発揮する。
公文書は美しい。建築とアートの優しい関係と同じように、
なんと言っても実用の極みの「公文書」が、そこはかとなく「美」的とも言える
アートの領域までを包んでいると思えてならないからである。

それは「レス・イズ・モア」、つまり、空間の装飾的な要素を取り払っていけば、
あらたな価値が見えてくる世界に等しい。
ミース・ファン・デル・ローエ(独:1866~1969)は近代建築の巨匠であるが、
「レス・イズ・モア(少ないことはより豊かなこと)」と名言を残している。

「豊かさ」とは何だろうか。それは経済的な裏づけだろうか。
人間はすべての物を手に入れても、欲というものにはきりがない。
それを追えば追うほど、「ある」ものではなく「ない」ものに心が執着していくものだ。
しかし、ゼロでは生きていくことは出来ないし、
「より少ないことは、やはり、より少ないことだ」になってしまう。
本質は違うところにある。
「レス・イズ・モア」の意味するところは、
出来るだけ少ないものに集中すれば、それをより活かすことができる。100以上の可能性を引き出せる。
つまり、自分にとって最も大事なものにフォーカスしようとする姿勢である。
公文書はこの精神を暗示している。

多くの国民にとって全くの関心外であったであろう法律が2009年6月24日に成立した。
「公文書の管理等に関する法律」である。
民主主義国家には、当たり前の法律なのであるが、それを今、日本はようやく手にしたのだ。
公務員の意識は変わり、日本の社会、文化、芸術にも少なからず影響を与えるだろう。
公文書あるいはもう少し広く言えば、「アーカイブズ(記録資料)」が、
より良い社会をつくるうえで重要な存在であるかがわかってきた。

一つ目の例は、「除籍簿」という記録が役所には存在する。
結婚や死亡などによって一つの「家」に属していた人の名は徐々に抹消されていく。
そしてついに、家に誰もいなくなったとき、戸籍は抹消されて除籍簿に移される。
一つの「家」があり、そこに固有の名前の人が属していたことを記した名簿である。
ところがこの除籍簿でさえ、150年が経過すると廃棄される。
よほどの著名人でない限り、この世に存在したことの記憶さえ消えてしまうのである。
良く知られているとおり、戸籍制度はほぼ日本独自の制度である。(※)
善くも悪くも、古くは奈良時代から日本の伝統・文化のひとつとして機能してきた。
しかし廃棄されてしまえば、一人の人間がこの世に存在したことを公に証明するものは何もないことになる。

そこから垣間見えるのは、日本という国が、一人ひとりの国民をどのように見てきたかというスタンスである。

貴重な歴史資料である除籍簿は、住民の存在証明(アイデンティティー)にとって
不可欠な記録資料であることから、これを、公文書館に移管して保存管理し、
研究に役立てることがのぞましいと思う。
多くの地方自治では、除籍簿の廃棄が行われているが、保存期間を150年ではなく永久保存してほしい。

もう一つの例は、大きな事件や災害を犠牲者の多寡で測ってしまうようなところがある。
だが、数で示したその裏に、一人ひとりが歩んできたそれぞれの人生がある。
1万人には1万人の、5千人には5千人の個性、生き方、人生がある。
一人ひとりの名を刻むということは、それを確認するための作業である。

市民証明書、戸籍、免許、契約書、図面、地図、発掘資料、
美術・建築・都市・服飾、産官学の共同研究の資料ばかりでなく、
あらゆる公文書のすべてが人間が人間として存在したことの証、
それが記録資料「アーカイブズ」の意味するところである。
極論すれば「進化する人と進化しない人の違いは記録を残すか残さないか」とも言えるが、
「後世を意識するかしないか」の違いと言い換えることができるだろう。
私たちは、より一層後世を意識した生き方を実践していく覚悟が必要である。

このように世界の記録管理やアーカイブズの分野では、
記録やアーカイブズが本来的に持っている効果を改めて強く意識する傾向にある。

残念ながら、日本の記録システム(アーカイブズ制度と言える)は、
ひとの生きた軌跡を充分に活かすほどに整ってはいない。
逆に、個人情報の流出が相次ぐと「記録の破棄こそが重要だという一面的な議論」が先行しかねない。
しかし、情報流出などの問題も、実は根は一緒であり、
記録・管理やアーカイブズのシステムが貧弱なことが原因のひとつだ。

私たちは今、「記録と記憶の効果」について考え直すときがきている。

詩人 トーマス・スターンズ・エリオット(英:1888~1965)の言葉だ。

現在の時と過去の時とは
ともにおそらく未来の時の中にあり
未来の時も過去の時の中に含まれていよう。
かくあったかもしれぬということはひとつの抽象で
絶えざる可能性としてとどまるものなのだ。
過去の時と未来の時とは
僅かな意識しか許容しない
未来の時も過去の時の中に含まれていよう
意識するということは時の中にいることでなない。
しかし、瞬間が
記憶に残されうるのだ。・・・過去と未来に巻き込まれてだ。
ただ時を越えてのみ時は克服される

「未来の時は過去の中にある」とアーカイブズは言っている。

※ 現在戸籍制度を使用しているのは、中華人民共和国、中華民国(台湾)、日本のみ。
このうち、中華人民共和国の戸籍制度は、事実上形骸化している。

参考リンク

東京都公文書館 – Tokyo Metropolitan Archives

東京都公文書館 新館情報

佐藤総合計画|建築・環境をデザインする設計事務所 | 佐藤総合計画

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

1月17日、2月13日に、それぞれ有識者会議が開催されました。
詳しい議事録は、こちらのURLをご覧ください。
http://www.vill.hakuba.lg.jp/somu/information/library_complex/intellectual.html
現在、年度内の基本構想策定の内容の調整を進めています。
図書館や交流の場としての基本的な機能はもちろんのこと、
白馬村の背景にある、大自然に根ざした観光資源や外国人移住者を含む多様性や、
これから解決を目指す課題など、さまざまな独特の条件を織り込んだ、オンリーワンの基本構想を目指しています。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


活動報告

特別対談企画「地域連携と図書館 ——図書館の新たな役割」開催

機関誌『Cul De La』第2号、注目の企画です。
2019年2月9日、法人会員のキハラ株式会社にご協力いただき、
特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」を行いました。
ゲストとして、伊東直登氏、岡本真氏のお二人をお迎えしました。

伊東氏は、塩尻市の「えんぱーく」運営に館長として携わってこられました。
在任中に「Library of the Year 2015」の優秀賞を受賞しておられます。
現在は、松本大学図書館長をしておられます。

岡本氏は、 ヤフー株式会社でのご経験を生かして、
数々の図書館設立・運営のアドバイザーをしておられます。
アカデミック・リソース・ガイド株式会社の代表でいらっしゃいます。

図書館に、中と外から深く深く携わってこられたお二人の対談でした。
地域に図書館がどう貢献できるかというのは、
ひとたび足を踏み入れれば、一筋縄ではいかないテーマです。
この難しい取り組みが、お二方の経験、視点で語られることで立体的に照らされました。
同時に、20年、30年先に初めて結果の出ると言ってもよい図書館整備の
難しさとやりがいにも、思いを新たにしました。


機関誌『Cul De La』編集中です

弊社団の機関誌『Cul De La(カルデラ)』の第2号を編集中です。

今回のコンテンツ
—「オガール紫波」の「紫波町図書館」と福岡県須賀川市の「須賀川市民交流センター(tette)」の建築特集
—紫波町図書館の司書、手塚美希さんと
熊本森都心プラザ図書館の館長、河瀬裕子さんの対談記事
「地域でいきる、ライブラリアンシップ」、
—筑波大学名誉教授の植松貞夫さんにきいた、「図書館建築の評価ポイント」
—特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」 など
(記事タイトルはいずれも仮題です)

図書館の設計、運営、地域との関わり方は何を目指すべきなのか、
図書館をつくり、いかそうとする読者の方々の心に火をつける内容になることを確信しています。
原稿は出揃い、今、鋭意編集作業を進めています。
どうぞお楽しみに。

機関誌『Cul De La』の発行は4月を予定しており、会員の皆様には無償でお送りいたします。
会員以外の方、追加・新規のご購入は、弊社団までお問い合わせください。


メールマガジンのweb公開を始めました

昨年5月より配信しております、当メールマガジンの、web上での公開を始めました。
こちらのURLからご覧いただけます。
http://jcdlab.com/mailmagazines/

文化施設、地域創生に関わる方々にひらめきを与える電子ジャーナルとして、
今後、内容の充実を図ってまいります。
また、メールマガジンに寄稿されたい方、寄稿文に感想をお持ちの方のご連絡も歓迎いたします。
社団編集部まで、どうぞお問い合わせください。


活動報告

2019年2月12日
特別対談企画「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」を開催しました

2019年2月9日
坂田理事の『ムチョラジ!』が大阪府立中央図書館の朗読蔵書になりました!

2019年1月9日
メールマガジン『Cul De La 通信』のWeb公開を始めました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

年末に第8号のメールマガジンをお届けしてから、2ヶ月の間があきました。
皆様、お元気で新年を迎えられましたでしょうか。

今回は、鳴海雅人様の寄稿文をお届けしました。
公文書の、先人たちの数え切れない「生」の痕跡としての一面に、
イマジネーションを刺激されます。
表層的な色や形だけではなく、人のつながり、時代のつながりへ想像をふくらませ、
さらには、その豊かな広がりの最先端に私たちの生活があると考えると、
あらゆるもの・ことは、本質的に美が宿っているようにも感じられます。

鳴海様は、機関誌『Cul De La』第2号にも、エッセイをお寄せいただいております。
こちらもまた、風の香、海の音を感じるエッセイです。

編集部も作業のピークに差し掛かっています。
1月急ぐ、2月は逃げる、3月は去る、とも言いますが、
生活の中に潜む美しさをちょっと意識する余裕を、持っていたいものです。

編集部 髙城 光


奥付

Cul De La 通信
2019年2月25日発行 通巻第9号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第8号

今年も残りわずかとなりました。
仕事納めまであと一息という方も、休暇モードの方も、
体調を崩されないようご自愛ください。


目次

    寄稿文「帰りたくなる場所-まちの公共施設に『ある』ものとは―」
    – 大場黎亜(株式会社GPMOグローカル研究事業部プロジェクトマネージャー/宮城県南三陸町復興応援大使)

    白馬村プロジェクトの進捗ご報告
    – 花井裕一郎(一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

    活動報告

    機関誌第2号、製作中です

    年末のご挨拶

    編集部より

    奥付


寄稿文

「帰りたくなる場所-まちの公共施設に「ある」ものとは―」
大場黎亜(株式会社GPMOグローカル研究事業部プロジェクトマネージャー/宮城県南三陸町復興応援大使)

11月3日、文化の日。高校卒業以来、私には、毎年この日に帰る場所がある。母校で、
プロの指揮者やソリストを招き、生徒、卒業生、父母の総勢300名以上で、ベートーヴェンの交響曲第九番を合唱する「第九の会」である。高校時代に、この会のリーダーを務めて以来、私にとっての「第九」、私にとっての「このホール」、私にとっての「この日」がかけがえのないものになった。今年も社会人になった後輩が、なんとか都合をつけて駆け付けた。

制服も校風も、色々と在学時から変化していき、どこか寂しく、どこか遠ざかっていく母校への想いに、今年はもう出ないと思っていた彼女が、「先輩、やっぱり第九は良いですね」と、呟いたのが印象的だった。時と共に思い出が遠ざかり、面影が薄れていっても、私には私の、彼女には彼女の「第九」がある。私たちはその「第九」に、自分を見つめに、あるいは、自分を探しに、帰ってくるのである。

  私のまちづくりの原点は、東日本大震災だ。大学3年を目前にした、春休みに起きたあの出来事を機に、私は被災地へ足を運ぶようになった。教育に携わる道を志していた私は、地域に入り、地域の人々に触れ、地域を好きになればなるほどに、このまちの子どもたち、いや、子どもたちに限らず、このまちに生きる人々に必要な「場所」とは何なのかと、自分の中で模索するようになった。私がまちづくりの仕事に就いたのは、これがきっかけだ。

私のそんな問いにヒントをくれたのが、日本カルチャーデザイン研究所(以下JCDLab)理事長である花井氏の「ないのに、ある」という言葉だった。何もかも無くなってしまったようなこのまちにも、見えない歴史、文化、記憶、エネルギーが、ある。復興の中で目指すものは、元の姿がなくても「ある」まちづくりなのだと思った。そして同時に、「あるのに、ない」を作りたくはないと、強く思ったのである。

10月30日から11月1日に開催された「全国図書館総合展」において、JCDLabが主催した「図書館政策フォーラム—図書館建設のための財源調達法」は、タイトルのテーマに沿ってはいるものの、手法についての議論に留まらず、もっと図書館の本質を探るような会であったと感じている。もちろん、国の方針や補助金等の交付金について、その交付金を利用して事業を実現させた先進事例について、そして、そのようにして建った施設で運営をされている中でのお話について、それぞれのゲストの方から、丁寧かつ面白いお話がたくさんあった。しかし、大事だと思ったのは、お話しいただいた各自治体の事例において、「私たちのまちにとっての図書館」とは何なのかをよく考え、地域で創り上げていくプロセスを大事にしている様子である。良いことも悪いことも、そのストーリーはそれぞれの物語として、人の、まちの記憶に繋がっていく。「ないのに、ある」がある限り、私たちはその「ある」に惹きつけられて繋がることができる。私たちの仕事は、「ないのに、ある」を見出して紡いでいくことなのではないかと考える。先日のフォーラムでは、各自治体の取り組みが、そのまちに関わる子どもから大人まで、あるいは、そのまちに縁ができたいつかの訪ね人が、帰ることのできるような場所を作っているように思えた。自分たちのまちに、「ある」が見えているからこそできる取り組みなのではないかと思った。

「私にとっての第九」は、「私にとっての図書館」、「私にとっての学校」ともなり得る。ホール、図書館、学校、公民館・・・私たちが仕事で関わるどの施設においても、そこで得た体験が記憶となり、愛着に繋がることが、結果として、個やまちに愛される「帰るべき場所」となり得る。私には私の、皆さんには皆さんのまちづくりがある。しかし、まちづくりは、一人ではできない。自分たちの目と肌と心で感じた「ある」を信じながら、1つ1つの音を集めて一つの曲を奏でるように、「帰りたくなる場所」を築いていくことが、それぞれの想いを一つのまちづくりに繋げ、世の中をより良くしていくことだと思っている。私たちの仕事は、そういう仕事であると思っている。

参考リンク

株式会社GPMO 公式ホームページ


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村でのワークショップを終え、基本構想の今年度中の完成を目指して進行中です。また続報をおしらせします!

花井裕一郎(一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


機関誌第2号、製作中です

弊社団の機関誌『Cul De La』は、来年4月に発行予定です!
11月26日に第2回編集会議を行い、思わず「おお!」と声のあがるような企画が採用されました!
12月13日、14日には、社団一同、岩手県紫波町の「紫波町図書館(オガール紫波内)」と、福島県須賀川市でオープン間近の「須賀川市市民交流センター(愛称 tette)」を視察しました。

それと同時に、紫波町図書館 主任司書の手塚美希さん、くまもと新都心プラザ図書館館長の河瀬裕子さんをお招きして、お二人の地域での働きを取材させていただきました。

1月にも取材を控え、また、文章をお寄せいただく方々へのご依頼も行い、編集委員会一同、第2号を作り上げる道のりを楽しんでいます。


年末のご挨拶

今年も残すところ数日となりました。

本メールマガジンをお読みいただいている皆様におかれましては、大変お世話になりました。
弊社団の2018年は、結団してまもない社団の体裁を整えあげることから始まりました。
それと同時に、図書館総合展の企画プロジェクトが立ち上がり、年の真ん中の6月、
白馬村の図書館基本構想策定に弊社団が選定されました。
この白馬村のプロジェクトをもって、弊社団の本格的な活動にやっとエンジンがかかったといえます。

その後は、白馬村でのワークショップ、図書館総合展のフォーラム主催など、
熱い志と推進力を糧に、活動を進めてまいりました。

思い返せば、私たちの活動は常に、社団の外の方々とのつながりに支えられています。
弊社団の活動理念の通り、私たちの仕事は、図書館、文化施設に関わる方々を「ブリッジング」していくことです。
橋をかける岸辺がなくては、社団の実体もないのです。

この一年、弊社団の活動の礎となってくださった皆様方に、心よりの感謝を申し上げます。
最後になりましたが、新しい一年の皆様の益々のご健勝を祈念いたしまして、年末のご挨拶とさせていただきます。よいお年をお過ごしください。

一般社団法人 日本カルチャーデザイン研究所 一同


2018年12月27日
紫波図書館(オガール紫波)、須賀川市市民交流センター「tette」の視察を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/


編集部より

機関誌『Cul De La』の企画として、紫波町図書館での対談の司会をさせていただきました。

図書館のあるべき姿を目指し、それを実行するエネルギーのあふれる姿に圧倒される、感動(と緊張)の数時間でした。

途中のトラブルにも関わらず、至らない点もあたたかく受け入れ、図書館の豊かなあり方の理想にせまるお話を聞かせてくださったお二人に、心より感謝いたします。

お二人の言葉からは、心の底に根ざした信念と、まだここにない理想の図書館へのビジョンが感じられました。

今回の対談記事で、その核心を多少なりとも感じていただければよいのですが、お話を伺いながら、まだまだ窺い知れない深い本質があると感じました。

私自身も、聞き手としての腕をあげて、お二人の元に再訪したいです。

最後になりましたが、2018年、社団の活動を支えてくださったみなさま方に、深い感謝を捧げます。

みなさまの元に、豊かな新年が訪れますよう、お祈り申し上げます。

編集部 高城 光


Cul De La 通信
2018年12月28日発行 通巻第8号
発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

 

Cul De La 通信 第7号

地面に落ちた葉が、赤に、黄色に、橙に色づいています。
この季節、冷たい木枯らしに、思わず顔を伏せてしまうこともありますが、
その時に、はっとするほど美しい一枚を見つけることもあります。


目次

寄稿文「“木のおもちゃ大国”を目指す!」

– 多田千尋(NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長・東京おもちゃ美術館 館長)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

会員総会のご報告

編集部より

奥付


寄稿文

「“木のおもちゃ大国”を目指す!」
多田千尋(NPO法人芸術と遊び創造協会 理事長・東京おもちゃ美術館 館長)

日本の木の自給率は30%を超えたが、木のおもちゃの自給率は3%を切る。
日本が砂漠地帯であればいざ知らず、
現状は、世界がうらやむ世界第2位の森林の宝庫だ。
日本人が不器用であれば諦めも付くが、世界屈指の木工技術を持つ国なのはいうまでもない。
こうした現状に風穴を開けるために、国が進めている「木育」と連動し、おもちゃのささやかな“革命”を起こそうと思っている。

全国の約1700の市町村に訴え、「ウッドスタート」宣言をしてもらうよう迫っている。
誕生祝品は地域材の木のおもちゃにしてもらうことや、学校の校舎や椅子、机もできる限り地域材を活用する。
さらには、ラストの「木育」は地域材の“棺桶”で人生最期を迎える「ウッドエンド」
もまじめに論議している。
こうした「生涯木育」に、ようやく50に迫る市町村が調印をしてくれた。

新宿区は2014年から友好都市の長野県伊那市の力を借り、3,000人の赤ちゃんに木のおもちゃを寄贈している。
小田原市(神奈川県)や秩父市(埼玉県)も誕生祝品に、地域材の木のおもちゃの寄贈を実施してくれている。
国頭村(沖縄県)や長門市(山口県)、由利本荘市(秋田県)は誕生祝い品に加え、
木育推進の役目を果たす「姉妹おもちゃ美術館」を誕生させた。
東京オリンピックの開催までには8館になる予定で、日本の木のおもちゃの普及啓蒙に努める。

『KItoTEto』という「木と手」をつなぐおもちゃのブランドを立ち上げた。地域材でおもちゃを作る約束をした作家たちの参画によるもので、
現在6作家、13アイテムまで作品が増えた。
このような取り組みは必ずや化学反応を引き起こし、日本をヨーロッパ並みの“木のおもちゃ大国”にしていくことを目指す。
世界が羨む森林資源を活かし、日本の土壌や空気で育った樹木で生まれるおもちゃが、
もっと子どもたちの周りにあってもよいと思っている。
木のおもちゃの自給率3%を何とか30%にするまで、この歩みを止めない。

関連リンク

東京おもちゃ美術館

KItoTEto


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

11月13日、白馬村で3回目のワークショップが開催されました。
SDGsの切り口からはじまり、住民への聞き取りを経て、
今回、これからの施設に欲しい機能を発見するというものでした。

ワークショップは今回で終わりですが、
メンバーからは、このメンバーでまた集まり、語り、
何かを創造したいという願いが語られました!

基本構想策定に向けて、まだまだ進みます。
引き続き、メールマガジンでもご報告してまいります。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)


図書館総合展でフォーラム開催!

去る11月1日、『第20回 図書館総合展』にて、
「図書館政策フォーラム-図書館建設のための財源調達法」を開催いたしました。
公的交付金を提供する文部科学省、国土交通省のご担当者をお招きして、
交付金の基本的な考え方を伺いました。
また、全国の図書館の中から、公的な交付金を受けて運営する先進的な図書館を、
自治体の首長、図書館の館長をお招きしてご紹介いただきました。

みなさまのお話しはとても熱く、勇気を奮い立たせられるものでした。
価値あるお話がぎゅっと詰まった90分でしたが、
社団の私たち自身も、まだまだお話を伺いたいところでした。

また、予想を超えるお申し込みをいただき、お断りせざるを得なかった方々も多く、
大変申し訳なく感じております。
今後も、みなさまに価値ある情報をお届けできるよう、社団一同取り組んでまいります。
引き続きご支援のほど、よろしくお願いいたします。

2018年11月5日
フォーラム「図書館政策フォーラム-図書館建設のための財源調達法」(『第20回 図書館総合展』フォーラム) 


会員総会のご報告

11月1日、横浜ランドマークタワー25F カンファレンスルームCにて
第1回 会員総会を開催いたしました。

決算報告、来年度予算案、監査報告が、全会一致で承認されました。

その後、糸賀雅児 慶應義塾大学名誉教授にご登壇いただき、
「なぜ読書が大事なのか?」というテーマにて、レクチャーをしていただきました。

ご出席くださった会員のみなさま、ありがとうございました。


活動報告
2018年11月5日
第1回 会員総会を開催いたしました

2018年11月19日
白馬村図書館および複合施設に関するワークショップ(第3回)が開催されました。

2018年11月14日
花井理事長が、高知県須崎市で講演会を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください


編集部より

我が家には、3歳と1歳になる2人の子どもがいます。
その子どもたちは、私と、私の父が遊んだ積み木を、今も現役で使っています。
親子3代、60年も使われた積み木は、角が丸くなり、くすんだ色で光っています。

木は、汚れやすく、燃えやすく、変色しやすいですが
それゆえに、年月や使い手の扱いをその身にやどします。
相手との関わりの中で、おもちゃ自身が変化していく様子…まるで、生きているようです。
赤ちゃんに木のおもちゃを贈るのは、
物言わぬ、辛抱強い、一生の友達を贈るようなものかもしれません。
(しかもこの友達、60年経とうが元気いっぱい、子どもと遊んでくれます。)

社団編集部では、機関誌『Cul De La』第2号の発行準備が始まりました。
今後は、その様子もお伝えしていきたいと思います。
次号もどうぞ、お楽しみに。

編集部 高城 光


奥付

Cul De La 通信
2018年11月25日発行 通巻第7号
発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第6号

朝晩はすっかり涼しくなり、さわやかな秋となりました。


目次

寄稿文「インドの村での20歳の出来事」

– 高橋和也(自由学園学園長)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

会員総会のご案内

編集部より

奥付

 


寄稿文

「インドの村での20歳の出来事」

高橋和也(自由学園学園長)

1982年、20歳の学生だった私は友人と2人、南インドのオダンチャトラムという村にあるキリスト教系の病院で約3週間を過ごすスタディーツアーに参加する機会を得ました。

初めての海外体験だったこともあり、このときの様々な経験は、私のその後の人生に大きな影響を与えるものとなりました。中でも印象深く心に残っているのは、巡回診療に同行させていただいた小さな村での一つの失敗の思い出です。

ドクターたちは病院での診療に加え、古いバンに医療器具や薬を積み込み、病院に足を運ぶことのできないお母さんや子どもたちのために定期的に村々への巡回診療を行っていました。ドクターが診療する間、集まってくる子どもたちと遊ぶのが私たち学生の役割でした。

初めて巡回診療に行った時に、私たちはソーシャルワーカーに教えられるままに赤茶けて乾燥しきった地面に15、6人の子どもたちと一緒に輪になって座り、「オラゴリア・ムンドゥリカ」という「ハンカチ落とし」ならぬ「シャツ落とし」をすることになりました。

子どもたちはうれしそうに私たちを狙ってシャツを落とし、狙われた私たちは砂ぼこりの中、掛け声と共に何度も子どもたちの輪の周りを走り続けることになりました。この遊びに終わりはなく、私は体中汗と砂にまみれ、喉も枯れ、もうへとへとでした。そんな私たちの様子を見て、子どもたちはますます楽しそうでした。ようやくドクターたちの診察が終わり、引き上げの合図が出されたときには本当にほっとしました。遊びは1時間ほど続きました。

逃げ込むように私たちはバンに乗り込みましたが、そのとき予想外のことが起こりました。

輪になっていた子たちが別れを惜しみバンの周りに駆け寄り、走り出そうとする車の窓にしがみつき、バンパーの上に乗りかかり、「タタータター」(タミル語で「バイバイ」)と大騒ぎになったのです。子どもたちは動き出した車をいつまでも追いかけてきました。心が通い合ったことが感じられ、泥にまみれながらも充実した疲労感に満たされました。

しかしその後、何度目だったか巡回診療に同行したときには、私は体調を崩した後だったこともあり、あの泥まみれの遊びはかなわないと思い、子どもたちと一緒に折り紙を折ることにしました。

ところが村に着き、集まった子どもたちに折り紙を配り始めると、まったく予想していなかったことが起こったのです。子どもたちは「一人一枚持ったら座りなさい」と言ってもお構いなしで、何度も折り紙に手を伸ばし、取り合っては破れた紙があたりに散乱する、という状態が延々と続いたのです。

子どもたちにとって四角くきれいな紙は珍しいもので、その紙を手に入れることに夢中になってしまったのです。大変なことになったということはわかったのですが、事態は収拾できませんでした。むなしく時間が過ぎ、たくさんあった折り紙はどんどん減っていきました。

そしてやっとドクターの「帰るよ」との声がかかった瞬間、また驚くべきことが起こりました。私の手の中の折り紙に群がっていた子どもたちが、蜘蛛の子を散らしたといった様子で一人残らず消えて行ったのです。

沈黙の中、破れて地面に散らばった折り紙を拾い集め、私はバンに乗り込みました。子どもたちの心を乱してしまったこととドクターたちへの申し訳なさでいっぱいでした。帰りのバンの中は重苦しい沈黙となりました。

「オラゴリア・ムンドゥリカ」の後に心が通ったのは一体なぜなのか。「折り紙」が子どもたちの心から何を引き出したのか。人と人、物と人の本当によい関係とはどのようなものなのか。豊かさとはなにか。20歳の夏、私は様々な問いを抱えて日本に帰ってきました。この経験はその後の私の原点となりました。

あれから30年以上が過ぎましたが、私は今もインドの子どもたち、お世話になったドクターたちへの感謝と懐かしさを抱えつつ、このインドの小さな村から続く道を歩いています。

インドの村での写真
インドの村での写真

関連リンク

寄稿文内のスタディツアーを引率された、佐藤智先生は、一般社団法人ライフケアシステムを立ち上げ、在宅医療の先駆者として活躍されました。

一般社団法人 ライフケアシステム _ 自分らしい人生を最期まで送っていただくために健康と医療を総合的にサポートします。

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

10月19日、白馬村役場にて、第2回のワークショップが開催されました。

参加者それぞれが、SDG’sのレクチャーを踏まえて、たくさんの人にリサーチする!という宿題に、みなさんそれぞれが活発に応えてくださいました。

今回はいくつもの意見を、整理、交換しする時間としました。

本日10月25日には、第2回の有識者会議も実施されました。その模様は、またホームページ等でお知らせしていきます。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


図書館総合展でフォーラム開催!満席御礼!

※ おかげさまで、本フォーラムは満席となりました。
お申し込みくださった皆様、ありがとうございます。

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が
10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

JCDLab主催のフォーラムは、
全国の自治体が悩み、情報収集をする交付金などの資金調達についての
ご相談をお受けし、独自の調査を元に、
「社会資本整備交付金」(国土交通省)「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」
等をはじめとする様々な交付金の申請、調達をご提案しております。

今回のフォーラムでは、資金調達に成功した図書館、担当省庁担当者をお招きし、
具体的な事例や助言をご紹介頂きます。
各地方自治体の首長、省庁の担当部局を始め、
そうそうたる登壇者が決定しています。

複合施設建設を先導してきたリーダーが、資金調達の実情について語ります。
図書館設立に関わる皆様方に、必聴のフォーラムになることは確実です。

ファシリテーター
糸賀 雅児 慶應義塾大学名誉教授

ゲストスピーカー
・文部科学省 総合教育政策局 地域学習推進課 青少年教育室 室長補佐
(併)青少年体験活動推進専門官
・国土交通省 都市局 市街地整備課 企画専門官(まちづくり交付金担当)
・神奈川県大和市長
・奈良県生駒市長
・吉成信夫 岐阜市立中央図書館 館長

※ご参加者様につきましては、フォーラム参加費 1,000円 を当日の受付の際に承ります。

最新の情報はこちら
図書館政策フォーラム | 図書館総合展

 


会員総会のお知らせ

「一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 第1回会員総会」

日時:2018年11月1日(木)16:00~17:00

会場:横浜ランドマークタワー カンファレンスルームC

住所:神奈川県横浜市西区みなとみらい2丁目2番1号 25F

※会員以外の皆様も社団の活動をご理解いただくためにご参加を歓迎いたします。

パシフィコ横浜より徒歩5分程度

 


活動報告

2018年10月20日

白馬図書館及び複合施設に関するワークショップ(第2回)が開催されました

 

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

本日は、自由学園の学園長でいらっしゃる 高橋和也様のご寄稿文をお送りしました。

日本は、物にあふれた豊かな国です。しかし、物が増えるとともに、一つ一つの物の価値は下がっていくのかもしれません。

豊かさの総量は、単純に物が増えていくことに、比例するものでもないように感じます。

豊かな国の中にいて、さらに豊かに生きるためには、すでにある物の価値を高めていくことが肝要なのではないか…

今回のご寄稿文に、さまざまなことを思いました。

さて、私どもの図書館政策フォーラム、おかげさまで満員御礼となりました。同日の夕方、会場近くで会員総会も予定されております。こちらの方は、会員以外の皆様にも公開しております。

皆様のお越しをお待ちしております。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年10月25日発行 通巻第6号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第5号

この夏、日本列島は、多くの自然災害に見舞われました。
被害にあわれた皆様は、どのようにお過ごしでしょうか。
少しでも早く、平穏を取り戻されることを祈念しております。


目次 

寄稿文「公共図書館の倫理とマイクロ・ライブラリーの矜持」

– 礒井純充(まちライブラリー提唱者)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

編集部より

奥付

 


寄稿文

「公共図書館の倫理とマイクロ・ライブラリーの矜持」

礒井純充(まちライブラリー提唱者)

ジェーン・ジェイコブスという人をご存知でしょうか?「アメリカ大都市の死と生」(1961=2012)の著者として都市計画、まちづくりに携わった人ならば一度は聞いたことのある人です。彼女は、米国のジャーナリストであり、また近代都市計画への痛烈なる批判家でもありました。著書の中でジェイコブスは、米国とりわけニューヨークを舞台とした近代都市計画がいかに地域のコミュニティを破壊してきたか、そしてその「計画性」ゆえに無駄な都市公園や公共施設を作ってきたかを問いただしています。例えば、街路を広げたことにより従来なら往来する人同士が挨拶や会話ができたのにそれを車の通行に奪われ、そこで子どもたちが遊び、アパートの前の階段に座る大人がその様子を見守るような関係性はなくなってしまったと指摘しています。彼女は、近代都市計画は、生活者の実態に即していない、生活者は生き物であり、都市の「自然観察」から導き出されたまちづくりが必要だと唱えたのです。

日本には、現在3300を越える公共図書館があります。多くの人に本を活用してもらって教養形成や人生設計に役立ててもらい、著作物を保存蓄積し次代の人々にも文化伝承をしていこうという専門倫理観を形成してきました。しかし今、公共図書館にも大きな転機がきたと、多くの方が指摘しています。民間の力でもっと自由で効率的な運営をやるべきであるとか、イベントや交流の場所として市民に開放し、まちづくりに活用していくべきであるとか様々意見と実践が交錯しています。ただ「公共図書館」は、行政組織です。変化への対応には時間がかかります。

一方、近年増加しているマイクロ・ライブラリーは、私的な活動であり、自由に運営されています。本を持ち寄り、各自が本を紹介しながら人のつながりを作ろうとする活動から個人で数万冊の本を集め、地域の人が貸し借りしているところもあります。場所も自宅、職場、お寺や病院、公園や山の中、商店街や商業施設まで多岐にわたって展開されてきています。マイクロ・ライブラリーの数を正確に把握するのは、困難ですが、私が提唱している「まちライブラリー」は、2011年に13カ所程度であったものが、2018年3月現在、560カ所を越えるまでに増えています。ある人は、亡妻の遺した本を捨てられず、自宅をまちライブラリーにし、ある人は両親が遺した米屋の店舗をまちライブラリーとギャラリーに改装し、地域に開放しています。それぞれの生活の知恵と工夫で場が生まれ、育っているように感じるのです。都市計画から生まれた場所ではなく、ジェイコブスが指摘したように生活の中に自然と生まれる場所になっているのです。このようなマイクロ・ライブラリーを観察し、本がある居場所に何が求められているのかを見続け、育んでいくことが大切だと感じています。そしてその活動の輪に、公共図書館も既に入ってきています。

公共図書館とマイクロ・ライブラリーは、まったく正反対のアプローチで広がってきましたが、生活空間に本を増やし、人と本、人と人が出会う居場所作りを協働していけるような気がします。“I have a dream”、いつの日かマイクロ・ライブラリーが多くの人にとって生きがいの場となることを夢見ています。皆様のご協力や応援をお願いします。

参考リンク
まちライブラリー

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村の図書館等複合施設プロジェクトは、今年度内の基本構想策定を目指して進んでいます。

8月30日には、白馬村役場で有識者会議が開催され、率直な質問や意見がたくさん飛び交いました。

9月12日には、村民の皆さんを招いたワークショップを開催しました。SDGsから白馬村を考え、図書館、複合施設のあり方へと繋がります。若い世代が語る、熱いワークショップになりました!

これからは、10月19日の第2回ワークショプ、そして20日のヒアリングなど、プロジェクトは止まらず、進んでいきます。

また引き続き、本メールマガジンでもご報告してまいります。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


活動報告

2018年8月31日

白馬村図書館等複合施設に関する有識者会議が開催されました

2018年9月14日

白馬図書館及び複合施設に関するワークショップが開催されました

2018年9月15日

坂田理事がアジア建築家会議でスピーチしました

 


図書館総合展でフォーラム開催!

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が

10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

JCDLab主催のフォーラムは、

全国の自治体が悩み、情報収集をする交付金などの資金調達についてのご相談をお受けし、独自の調査を元に、「社会資本整備交付金」(国土交通省)「SDGs未来都市及び自治体SDGsモデル事業」等をはじめとする様々な交付金の申請、調達をご提案しております。

今回のフォーラムでは、資金調達に成功した図書館、担当省庁担当者をお招きし、具体的な事例や助言をご紹介頂きます。各地方自治体の首長、省庁の担当部局を始め、そうそうたる登壇者が決定しています。

複合施設建設を先導してきたリーダーが、資金調達の実情について語ります。図書館設立に関わる皆様方に、必聴のフォーラムになることは確実です。

満席となる前に、お早めにお申し込みください!

ファシリテーター

糸賀 雅児 慶應義塾大学名誉教授

ゲストスピーカー

文部科学省生涯学習政策局

国土交通省大臣官房社会資本整備総合交付金棟総合調整室(予定)

総務省自治財政局(予定)

吉成信夫 岐阜市立図書館 館長

他、自治体関係者に交渉中

※ご参加者様につきましては、フォーラム参加費 1,000円 を当日の受付の際に承ります。

最新の情報はこちら

図書館政策フォーラム | 図書館総合展

 


その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


 

編集部より

今号のCul De La通信では、礒井純充様の寄稿文をお届けしました。

冒頭の、ジェーン・ジェイコブスによる告発を始め、大局的な施策が生活の実態への配慮を欠く例は、枚挙にいとまがありません。

しかし近年、行政が生活者レベルの視点を獲得しようとする動きが高まっています。寄稿文でも、巨視的な公共政策が微視的な地域活動へ歩み寄る現状が示されました。「SDGs」が169ものターゲットに細分化されるのも、世界の変革に対し、生活地域レベルの達成が不可欠であるという意識の表れです。

日本の行政も、こうした目標達成の支援へ動いています。私たち自身は、まさにこうした歩みに寄り添う活動をしています。白馬村では、生活者の視点を計画に映し出す取り組みを重ねています。図書館総合展でのフォーラムもまた、政策をくらしにつなげるものです。一つ一つの歩みはいつか、地に足のついたくらしと、世界を俯瞰する眺望をつなぐ、大きな橋を描くでしょう。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年9月25日発行 通巻第5号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第4号

厳しい暑さは続いていますが、
朝夕は木立の影が長く伸び、秋の気配を感じます。

 


目次

寄稿文「図書館のイノベーションを推進できる人材の育成について」

– 朴世晋(株式会社早稲田大学アカデミックソリューション(WAS))

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

– 花井裕一郎

活動報告

図書館総合展でフォーラム開催!

編集部より

奥付

 


寄稿文

「図書館のイノベーションを推進できる人材の育成について」

株式会社早稲田大学アカデミックソリューション(WAS) 朴世晋

いま、公共図書館のあり方について問い直されようとしている。前例のない社会的課題の出現、テクノロジーの進化、予算の削減など公共図書館を取り巻く環境の変化が著しい。

こうしたなか、文部科学省から出された報告書等でも一部触れられているとおり、未来の図書館のあり方のひとつとして、「読書支援」から「社会課題の解決支援」に役割をシフトさせ、レファレンス機能などの従来の強みと新たな知を融合することでサービスのあり方を変革し、社会への貢献が持続的に可能な経営モデルを構築することが求められてくるであろう。公的な機関として変化と競争の少ない環境におかれてきた図書館にも、こうしたイノベーションを推し進めることのできる人材の育成が必要になりつつあると考える。

図書館スタッフは地方自治体から与えられた方針のもとでオペレーショナルな仕事を担うことが多く、そうしたスタッフがリーダーシップを取って図書館の変革を実現することは難しいのでは、とのお考えを示される方は少なからずいらっしゃる。しかし、図書館と同じ非営利の組織である大学の職員人材育成に取り組んできたWASの経験を踏まえれば、イノベーションをリードできる図書館スタッフの育成は十分に可能ではないか。

大学も18歳人口の減少や社会ニーズの高まり、補助金の削減など近年の環境変化により、教育・研究・経営のあり方について変革が求められており、こうしたイノベーションをリードできる人材の育成が喫緊の課題となっている。

大学は民間企業とは違い、利潤に関連した明確な達成指標を持ちにくい非営利の組織であり、社会を良くするために「我々の信じる価値」を実現できるかどうかが、組織と構成員を突き動かす力の源泉となっている。

大学において「我々の信じる価値」の拠りどころとなるのが「建学の精神」であるが、その制定から時が経つにつれて、想起できる具体的なイメージが薄れたり、当初込められた意味合いや意義が見失われたりしてしまうケースがある。その結果、組織の力の源泉としての機能が弱まり、構成員の能力向上に関する動機も生まれにくくなってしまうことが指摘されている。

したがってWASでは、大学職員人材育成のファーストステップとして「我々の信じる価値」を具体的で「ありあり」としたビジョンとして、構成員全員で共創し腑に落としていくプロセスを踏むことにこだわっている。そうすることで構成員を突き動かす力も高まり、人材育成に対する内発的な動機もおのずと醸成されると考えている。

図書館における人材の育成にも、大学職員の人材育成と同じ考え方が適用できるのではないか。

図書館スタッフの方々とお話をすると、図書館や自身の果たすべき使命を自分なりに定義し、利用者、蔵書、建屋、仲間などに対する矜持を具体的にもっていることに心を打たれる機会が多くある。こうした使命や矜持は、非営利組織の「我々の信じる価値」に通じるものであるとともに、図書館を変革に突き動かしていくために不可欠な無形の財産でもあり、また、図書館運営に携わるスタッフ以外の人間には持ちにくい固有のものであろう。

人材育成を支援するWASとして、図書館スタッフが「我々の信じる価値」を内省し共創することを手助けできれば、組織が自律的に変革していくために必要な風土やマインドセットを醸成できるのではないかと思っている。ひいては、こうした風土やマインドが、図書館スタッフの経営感覚やイノベーション実現に向けたリーダーシップを自ずと高めていく基盤になりうるのではないかと期待している。

WASではこうした考え方のもと図書館のイノベーションをリードできる人材育成プログラムを提供できないかどうか、日本カルチャーデザイン研究所の先生方のご意見を賜りながら模索しているところである。本メールマガジンをご覧いただいて少しでもご関心をお持ちの方に、ぜひご意見やご助力を賜れれば幸いである。

参考リンク

早稲田大学アカデミックソリューション | Waseda University Academic Solutions Corporation Website

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

7月21日~26日に開催された、「NAGANO国際音楽祭 in白馬」にて、

村民の皆様にアンケートを実施しました。

新しい複合施設が担う役割、期待する機能、村の魅力など…

そして、280あまりのご回答をいただきました。

今、内容を集計しています。

社団のメンバーは、8月29日に白馬村役場と打ち合わせ。

8月30日には、有識者会議も予定されています。

アンケートの内容もこの会議で話し合う予定です。

有識者会議は、傍聴も受け付けています。

どんな2日間になるか、楽しみです。

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

 


活動報告

2018年08月22日

白馬村の複合施設に関する有識者会議の傍聴を受け付けています

図書館総合展 フォーラム「資金がない?あきらめるな!図書館建設に必要なお金は目の前にある。」開催のお知らせ

 


図書館総合展でフォーラム開催!

図書館業界最大の展示会「図書館総合展」が10月30日~11月1日、バシフィコ横浜で開催されます。

私たちJCDLabは、これまでの資金調達支援の経験を生かし、フォーラムを開催いたします!

ファシリテーターとして、糸賀雅児(慶應義塾大学名誉教授)氏をお迎えします。

資金調達に成功した図書館や、省庁のご担当の方々をお招きし、具体的な事例や助言をご紹介いたします。

現在、このフォーラムを充実したものにするために、打ち合わせを重ねているところです。(8月24日にも、ミーティングを行いました。)

他では得られない情報を皆さんとシェアしながら、鋭く、わかりやすく、資金調達について学ぶ場をつくりたいと思います。

どうぞ、ご参加ください!

詳細はこちら

資金がない?あきらめるな!図書館建設に必要なお金は目の前にある。 | 図書館総合展

 


その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

白馬村のプロジェクトが、いよいよ本格的に動き始めました。

白馬村では、すでに昨年度から、図書館施設のあり方について、検討が始まっていました。その議事録(webで公開されています)を、先日読み返しました。

本を貸し出すというだけではない、地域の問題解決役としての図書館への期待が、住民のみなさんの中にあることが感じられました。

図書館が「無料貸本屋」でないことは、今や一般的な認識になりつつあります。そんな中、図書館設立に関わる私たちは、潜在的な利用者も含む、様々な関係者の価値観をくみ取り、立場とスキルを活かして「具現化」する役割を担わなくてはなりません。

また、これまでの白馬村図書館へのまなざしも忘れてはなりません。

図書館の立ち上げは、創造的でドラマチックですが、同時に、イノベーションは始まった後が肝要であり、「志」を維持できるかどうかに、図書館の成熟がかかっているといってもよいでしょう。

大学における「建学の精神」のような、精神的な基礎と、そのビジョンを「具現化し続ける」人の地道な育成が必要です。

ダイナミックに、堅実に。その歩みが始まっています。

編集部 高城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年8月27日発行 通巻第4号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

Cul De La 通信 第3号

あまりの暑さに、夕立を恋しく思います。

 


目次 

寄稿文「図書館の可能性を広げるために」
 – 高野洋平(建築家/高野洋平+森田祥子|MARU。architecture共同主宰)

白馬村プロジェクトの進捗ご報告

活動報告

編集部より

奥付

 


寄稿文

図書館の可能性を広げるために
高野洋平(建築家/高野洋平+森田祥子|MARU。architecture共同主宰)

図書館を思い浮かべる時に、そのイメージはきっと人それぞれで興味深い。
ある人は、整然と並んだ沢山の本棚を思い浮かべるかもしれない。ある人は、学生時代に受験勉強をした記憶を思い浮かべるかもしれない。ある人は、自分が通った閲覧席の窓の外の景色を思い浮かべるかもしれない。ある人は、カウンターに座った馴染みの司書さんの顔を思い浮かべるかもしれない。

図書館の設計をする時にいつも考えることは、そこに生まれる個人的な「場所」のことだ。全国の沢山の図書館の中には、それぞれ沢山の場所があるが、これからつくる図書館は、そこにしかない場所を更に豊かで魅力的なものにしたい。

図書館は、整理された情報を誰もが探しやすいことが必要である。つまり、あるシステムを持った空間であることが求められる。このシステムをどのように捉えるかが、設計の中では重要になってくる。放っておくと客観的にわかりやすいシステムの達成が最も重要になってしまい、個人的な感覚に訴える「場所」の豊かさが損なわれることにもなってしまうからだ。

個とシステムを巡る葛藤。このことは、図書館だけではなく、様々な場面で起こっていることでもある。沢山の人が生きていく社会の中では整然としたシステムが必要だけれど、一方で、世の中は矛盾に満ちた、一人一人の集合でもあるのだ。システムが強い時代だからこそ、個人性や場所性の持つ可能性をもっと考えてみたい。

これからの図書館を考える時には、全体のシステムも、場所の個性も、対立するものではなく、同時に考えていきたい。例えば、図書館毎の個性を活かした「テーマ配架」や、そのまちの特徴を活かした「まちじゅう図書館」のような、それぞれの場所を豊かにする、魅力的な仕組みとしての新しいシステムを生み出したい。そのためには、システムことを、既に決まったものとして考えるのではなく、関係者で一から議論をしていくことが大切なのではないかと思う。これまでの常識を一旦はずして、その街ならではの特徴を考えていくことで、図書館の可能性は飛躍的に広がるはずだ。

参考リンク

建築設計事務所(東京・名古屋) 高野洋平+森田祥子 MARU。architecture

 


白馬村プロジェクトの進捗ご報告

白馬村プロジェクト、進行中です。
本日も、花井理事長らメンバーが、NAGANO国際音楽祭 in白馬に合わせて白馬村入りしています。
近々有識者会議も予定されています。
村民の皆様のワークショップに向けた情報収集も…。
皆様にご報告できるのが楽しみです。

NAGANO国際音楽祭

 


活動報告

2018年07月06日
坂田理事が政策研究大学院大学でミニ講義を行いました

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

公共図書館で個人が知的な活動をのびのびと行うためには、資料だけではなく、環境や、自分自身の心の状態も整っていなければなりません。こうした条件は、私たちの極めて個人的な感覚によるものです。

例えば必ずしも、「閲覧席」が資料を読むのに適しているとは限らず、ある人にとっては、本棚の間の通路や、図書館の外の喫茶店が、知的活動の場だということもあるでしょう。

さあ、これからやるぞ、というときに公的に用意された閲覧席やワークスペースをいったん抜きにして、あなたが本当に行くべき場所は、どこなのでしょうか?

ある図書館において、自分の知的欲求が満たされる環境を発見し、そこに至るまでの道のりやふるまいを身につけるとき、公共図書館は「私の」場所になるのではないでしょうか。

猛暑が続いています。皆様ご自愛ください。

編集部 高城 光

 


奥付

Cul De La 通信
2018年7月25日発行 通巻第3号

Cul De La 通信 第2号

雨の雫を受け、緑が美しい季節です。

 


目次

寄稿文 – 小原愛(一般社団法人Japan Innovation Network イノベーション加速支援グループ ディレクター)

白馬村プロポーザル採択のご報告 – 花井裕一郎

活動報告

編集部より

奥付

 


寄稿文

一般社団法人Japan Innovation Network イノベーション加速支援グループ

ディレクター 小原愛

「SDGs」という言葉にピンと来る方が多くなってきたと、この頃、感じる。昨年7月、ピコ太郎が“PPAP~♪”(ここでは、Public Private Action for SDGsの略だった)と国連本部で踊ったのが報道され、彼の金色の衣装に加え、色とりどりのロゴを見てSDGsを記憶されている方も多いのではないかと思う。

ピコ太郎×外務省(SDGs)~PPAP~ [YouTube]

SDGはSustainable Development Goalsの略で、日本語で言うと「持続可能な開発目標」となる。2015年9月の国連総会で採択された。地球を社会・環境・経済的に持続的にするために、先進国、途上国を含む世界中の全ての国が2030年までに達成すべき開発目標だ。色とりどりの原因は、その数にある。SDGsには17の目標があるので、ロゴは17色だ。

SDGs: Sustainable Development Goals

SDGsの素晴らしいところは、国連や政府など、市民から遠いところで達成が目指されるのではなく、全ての人々がみんなで達成を目指す目標だという点だ。SDGsの中身を決める過程にも、世界中の人々の意見が反映された。実に、世界170カ国から700万人を超える人々がインターネットや国連が開催した会議などで、どんな目標を入れるべきか意見を言った。

その結果、17個ものゴールになったわけだが、実は、さらにその下に“ターゲット”という小項目があり、その数は169にのぼる。これを見ていくことによって、世界中の企業やNGO、そして地域コミュニティや個人が、自分で達成できそうな目標が見えてくる。

日本カルチャーデザイン研究所(JCDLab)と関連が深い、SDGsの目標11「都市と人間の居住地を包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする」を見てみよう。目標11の下のターゲットaには、「各国・地域規模の開発計画の強化を通じて、経済、社会、環境面における都市部、都市周辺部及び農村部間の良好なつながりを支援する」とある。これは、JCDLabが掲げる「豊かな文化・教育施設やまちづくりのために組織や制度の枠を越えて人々をつなぎ、ブリッジングする場」という事業理念と共鳴しないだろうか。

また、ターゲット7(ターゲットには、番号かアルファベットが振られている)には、「2030年までに、女性、子ども、高齢者及び障害者を含め、人々に安全で包摂的かつ利用が容易な緑地や公共スペースへの普遍的アクセスを提供する」というのがある。これは、JCDLabの「公共・民間文化施設、教育機関、都市空間デザインの基本・実施設計業務に関わる支援を行い(中略)地域の強みや独自性を発見しつつ、まちづくりの観点から設計者と綿密な計画を立て、その地域らしさを模索」という事業内容そのものではないだろうか?JCDLabが活動を進めることで、SDGsの達成にも寄与しているのだ。

さらに、SDGsの達成に興味を持たれたならば、政府が2016年12月に決定した、日本の「SDGs実施指針」を覗いてみることをお勧めする。この指針には、“あらゆる人々の活躍の推進”、“健康・長寿の達成”、“持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備”など日本の「8つの優先課題」ごとに、国内と国外でどのような施策を実施していくかが、明確に示されている。

SDGs実施指針(外務省)

例えば、ターゲット11.aに関連しては、「『対流促進型国土』の形成に向けて、また、人口減少や高齢化が進む中にあっても、地域の活力を維持するとともに、医療・福祉・ 商業等の生活サービス機能を確保し、高齢者等の住民が安心して暮らせる、持続可能な都市経営を実現」が国内施策としてあげられている。

少々難しい言葉で語られているが、この施策に沿って、JCDLabは具体的にどのような活動を進めることができるだろうか。

さらに、SDGsを通して、海外に目を向けてみることも可能だ。2017年以降、世界各国はSDGsの実施方針や進捗に関するレポートを国連に提出し始めている。以下のページをご覧頂くと、日本を含め各国のレポートを見ることができる。これらのレポートを見ると、自分が行っていることが、世界のどの国のSDGs推進とつながっているか、その国に対して実際に何かできることがあるのか、多くのヒントを見つけることができると思う。

Sustainable Development Knowledge Platform(United Nations)

このように、SDGsは“世界の共通言語”なのだ。政治の世界だけでなく、ビジネスでも、市民レベルの交流でも、SDGsは話題にのぼる。季節の挨拶の次に、“SDGs”かもしれない。私が勤める一般社団法人Japan Innovation Networkでは、2016年7月に国連開発計画(UNDP)と共同で、ビジネス、とくにオープンイノベーションでSDGs達成を目指す連携プラットフォーム「SDGs Holistic Innovation Platform (SDGs)」を立ち上げた。いま、600名近くの個人、そして70程の企業や団体にSHIPエコシステムに参加して頂いて、SDGsとビジネスの関係を探り、具体的にどのようなイノベーション、ビジネスモデルでSDGsを達成できるか、イノベーションの創出とビジネスモデルの構築を進めている。

SDGs Holistic Innovation Platform (SHIP)

その中でも、やはり、民間セクターが、地方の活力を活かし、公的セクターや市民と連携しながら、ビジネスを通じてどう持続可能なまちづくりを進めていけるかという議論が頻繁になされている。

2030年まで、気がつけば、あと12年だ。読者の皆さんも社会、世界とご自身のつながりを考えるきっかけとして、ぜひ、SDGsを覗いてみて頂いてはどうだろうか。

 


白馬村プロポーザル採択のご報告

花井裕一郎(一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

この度、「白馬村図書館施設等基本構想策定業務 公募型プロポーザル」に採択されました。

私たちにとっての、初めての大きな仕事です。

6月19日に白馬村を訪れ、1日をかけて打ち合わせ、リサーチを行いました。

いよいよ、図書館及び複合施設の基本構想に向けてのプロジェクトスタートです。

「本がある」空間を中心にした複合施設を考えます。

これから、有識者会議、村民とのワークショップなど、多様な意見を聞き、まとめ、

ステキな空間を創造します。

 


活動報告

2018年06月11日

白馬村図書館プロポーザルに採択されました

2018年05月26日

機関誌『Cul De La』を創刊しました

 

その他の活動報告はこちらをご覧ください → http://jcdlab.com/news/

 


編集部より

弊社団の機関誌『Cul De La』、また、本メールマガジン(Cul De La通信)の名前は、

私たちを潤す知の恵みを、山になぞらえて名付けました。

その私たちの最初のプロジェクトが、北アルプスにいだかれた白馬村であることが嬉しいです。

厳しい山の中で生き延び、暮らすための知恵は、書物から学べる部分はその「裾野」にすぎず、真価は、現場での経験や技術の蓄積にあるといえるかもしれません。

しかし、そのような知恵であるからこそ、山には知を「人と共有する」習慣が根づいています。

「こんにちは」「もうすぐ頂上ですよ」と交わされる登山者のあいさつひとつにも、その姿勢が表れています。

白馬村には、世界中のツーリスト、アルピニストが集まります。ここにできる知の拠点は、どのような姿になるでしょうか。

知を携えた人と、知を分け合う文化に支えられた、すばらしい場になると確信しています。

プロジェクトの進捗は、また引き続きお知らせしてまいります。楽しみにお待ちください。

編集部 高城 光

 


奥付

Cul De La 通信

2018年6月25日発行 通巻第2号(再配信)

Cul De La 通信 創刊号

一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所の
メールマガジン『Cul De La 通信』を創刊します。

 


目次 

『Cul De La通信』の創刊にあたって
– 花井裕一郎(日本カルチャーデザイン研究所 理事長)

今後の刊行コンテンツ
– 編集部

機関誌「Cul De La」のお知らせ
– 高橋俊也(『Cul De La』編集長)

活動報告

奥付

 


『Cul De La通信』の創刊にあたって

一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所
理事長  花井裕一郎

人や地域の尊厳を「美点凝視」して、地域の本質的な価値を創造することを事業理念として、
一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所を設立いたしました。

この法人の目的は、地域で生活される人々の誇りを再評価し発展させ、
文化・教育施設をわくわくする場とすることにあります。
そのために、地域に暮らし学ぶ人たちと、それぞれの課題を発見・解決し共生することが大切だと思います。
それを実現するために、豊かな文化、教育や地方創生の発展に係わられる、
イノベーションに志がある全ての方を「つなぐ」役割を果たしたいと思います。
それには、従来の、官民の枠やセクト主義を超えた、排除無き「連携」を必要といたします。

その繋がりを実現していくために、機関誌『Cul De La』とWEB版の『Cul De La通信』を創刊いたしました。
この社団の理事たちがこれまで築いてまいりましたネットワークを駆使し、
より良い空間に素敵なコミュニケーションが生まれ豊かな世界がつながっていくプラットフォームを
この『Cul De La通信』を活用して創造したいと願っております。

『Cul De La通信』は、新たな時代を創る場として、
専門家による寄稿を中心に理事による活動報告、購読者が知りたいタイムリーなテーマを掲載していきます。
そして、新たな時代を創るプラットフォームとして、
みなさんと共に育て、多くの意識ある方たちが本音で語り合える場として、『Cul De La通信』を開放します。

皆様と一緒につくりあげていく楽しいWEBマガジンとなりますようご支援をいただければ幸甚です。

 


編集部より ― 今後の刊行コンテンツ

『Cul De La 通信』では、広汎な分野のスペシャリストをお招きし、
これからの文化の道すじを照らす、示唆にあふれた寄稿文を掲載していきます。

第1号は、5月25日発行。
Japan Innovation Network(JIN)の小原 愛様による寄稿を掲載します。

その後は、毎月25日に、みなさまのお手元にお届けします。

Cul De La 通信は、文化の最先端を担うみなさまの交流の場を目指しています。
お読みになられましたら、ご意見やご感想をぜひともお寄せください。
双方向の意見交換を目指し、寄稿者へお伝えするとともに、
以降のメールマガジンやwebサイト上で活用していく予定です。

ご意見・ご感想はこちらへお送りください → info@jcdlab.com

これからの『Cul De La 通信』に、どうぞご期待ください。

『Cul De La 通信』編集部
高城 光

 


機関誌『Cul De La』創刊のお知らせ

一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所
機関誌『Cul De La』
編集長 高橋俊也

一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所(以下JCDLab)は、
豊かな文化・教育施設やまちづくりのために、組織や制度の枠を越えて人々を「つなぐ」プラットフォームになることを目指しています。

そのために大切な「ブリッジング」(個人や団体をつなぐ架け橋を作る)をすることを目標として
機関誌「Cul De La」(カルデラ)が創刊されました。
すでに会員の皆様のお手元には届いていることと存じます。

創刊号では、専門家、建築家、教育関係者からの寄稿に加え、
ワクワクするような対談企画が2つも掲載されております。

JCDLabは、図書館を中心に地域創生とイノベーション事業を地域と共に推進しています。
この「Cul De La」は、そのインタラクティブな新しい挑戦の場となることを目指し、
今後の誌面を、会員の皆さんやすべての志のある方たちと共に作っていきたいとを考えています。

皆様一人一人が、自分の雑誌と思い、その「つながり」のなかで成長できれば
面白いコンテンツに溢れた、読者に愛される機関誌になると思います。

『Cul De La 通信』をご覧の皆様には是非、機関誌『Cul De La』の購読をお勧めいたします。

新規ご購読・1冊単位でのご購入は、こちらよりお申し込みください → http://jcdlab.com/#index_contact

 


奥付

Cul De La 通信
2018年5月25日発行 通巻第1号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所