Cul De La 通信 第11号

奄美・沖縄地方が梅雨入りし、夏の気配も遠くに感じられる時期になりました。


目次

寄稿文「村のチームがトライバーシートに座って取り組む持続可能な開発」
– 原ゆかり(ガーナNGO法人 MY DREAM. org 共同代表)

機関誌『Cul De La』第2号が完成しました

編集部より

奥付


寄稿文

「村のチームがトライバーシートに座って取り組む持続可能な開発」
– 原ゆかり(ガーナNGO法人 MY DREAM. org 共同代表)

2012年6月、当時アメリカの大学院に通っていた私は
インターンとしてガーナ北部ボナイリ村に派遣されました。

初めてのアフリカ、初めてのガーナ、初めての村の生活。
ボランティアとして何か役に立てるはず、そう信じて村での生活を始めた私が実際に経験したのは、
村のみんなに寝床や食事、バケツ入浴のための水を用意してもらったり、
現地の言葉や文化、暮らしぶりについて教えてもらったりという、
とにかく助けてもらうことの連続でした。

何か恩返しをしたいと、現在はMY DREAM. orgの共同代表を務めるザックに相談し、
村のリーダーたちと話し合った結果、
「子どもたちが夢を見つけ、追いかけ、実現していく環境づくりをしたいね」
という想いで一致し、幼稚園建設プロジェクトを立ち上げることになりました。
これが、MY DREAMプロジェクトはじまりの経緯です。
以後、子ども用トイレ、お遊技場、クリニックなど、
子どもたちを取り巻く環境を改善するためのプロジェクトを、
村のチームが主体となって推進してきました。

2014年、「外国からの寄付がなくなったらプロジェクトはどうなるんだ?」という
村のメンバーからの問題提起を受けて以降は、
立ち上げから10年後の2022年までに寄付から卒業し、村発のビジネスから得られる収益をもって、
子どもたちの生きる環境を改善していく活動が続けられるようになることを目指すようになりました。
アフリカ布で鞄やエプロンなどを縫製したり、
ガーナ発のコスメブランドと提携してシアバター商品を開発したり、
稲作に取り組み始めたり、と様々なことに取り組んできました。

MY DREAMプロジェクトが立ち上がり当初から最も大事にしているのは、
プロジェクトのあらゆる場面における中心と主体が村のチームであること、です。
ガーナの首都アクラ在住のチェアマンや外国人である私自身がボードメンバーとして意思決定に関わる
予算事項等を除いては、プロジェクトのPDCA(計画、実行、評価、改善)の全てを村のチームが手がけています。
その過程で生じる想定外の出来事や失敗を見過ごしたり隠したりはせず、
何が問題だったのか話し合い、改善策を考えることも大事にしてきました。

「ボナイリ村の人々は、一つ一つの開発プロジェクトに“関わる”というよりも、
ドライバーシートに座ってプロジェクトを引っ張っている自覚がある」という、
2017年に完成したMY DREAMクリニックにガーナ保健局から派遣されている看護師の言葉が、
まさにチームの姿を的確に捉えているように思います。

7年間の歩みにおいては、村人たちの取り組みに、多くの人々や組織が知恵や力を貸してくださいました。
ガーナ農業省、国連やJICAの職員の方々から稲作指導をしていただいたり、
近隣で活動する青年海外協力隊の皆さんに子どもたち向けのワークショップを開催していただいたり、
応援してくださる世界中の方々から専門的なアドバイスをいただいてきました。
村のチームは、そんな多くの方々の関与を受けながら、自分たちの道を選択し、
一つ一つ実績を積み重ねてきました。

立ち上がりから7年目、寄付からの完全卒業を目指す2022年まであと3年と少し。
ドライバーシートに座ってプロジェクトを引っ張り続ける村のチームに寄り添い、見守りながら、
真に持続可能なエコシステムの確立に向けて、引き続き取り組んでいきたいと思います。

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参考リンク
— 原 ゆかりさんが共同代表を務めるMY DREAMプロジェクトのwebサイトです。
MY DREAM made in Ghana

 

 


機関誌『Cul De La』第2号が完成しました

機関誌『Cul De La』第2号が、4月23日に発行されました。
会員の皆様のお手元には、すでに届いていることと思います。

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道標 植松貞夫
「図書館建築の評価ポイント」

対談企画 伊東直登 × 岡本真
「地域連携と図書館——図書館の新たな役割」

展望 畝森泰行
「須賀川市民交流センターの挑戦——有機的な建築を目指して」

対談企画 河瀬裕子 × 手塚美希
「地域を活かすライブラリアンシップ」

建築特集 坂田泉
「紫波町図書館」
「須賀川市民交流センター tette」

エッセイ 鳴海雅人
「風音と潮騒が聞こえてくるだけで価値観が変わる場所
——生き続ける遺伝子 ミライon図書館(長崎県立・大村市立一体型図書館)」
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機関誌をお読みになった会員の方からは、たくさんのご好評をいただいております。
小さな編集部にとって、皆様のお声が本当に力になります。
ご意見やご感想、叱咤激励のお声を編集部までお送りください。

編集部は、早くも次号の機関誌に向けて企画を立て始めています。
メールマガジンでも、企画の進捗をお知らせします。どうぞお楽しみに。

 


活動報告

第3回理事会が開催されました —2019年4月24日

第3回理事会が開催されました

機関誌『Cul De La』第2号を発行しました —2019年4月23日

機関誌『Cul De La』第2号を発行しました

その他の活動報告は、こちらをご覧ください
→ http://jcdlab.com/news/


編集部より

みなさまお元気でお過ごしでしょうか?

今回のCul De La通信では、MY DREAM. org の原ゆかり様にご寄稿をいただきました。
「もしも寄付がなくなったら?」という疑問からスタートしたMY DREAMプロジェクトですが、
参考リンクにある、製品の作り手を紹介するページでは、
真っ青な空を背景にたくさんの笑顔が輝いていました。

ボナイリ村の村民の笑顔をからは、
施しに頼らず、「自立する」ことは幸せで美しいことだと感じます。
幾重もの豊かさに守られ、「もの」と「こと」に囲まれて生活する自分自身は、
本当に自立できているのか?美しく生きているのか?と問うてみたくなりました。

編集部は、3月から4月の忙しい時期を乗り越え、少し一息ついています。
一方、社団のメンバーは、プロポーザルの書類作り、各方面との打ち合わせなど、
いつも通り全力で動いています。
ちょうどどのプロジェクトも下準備の段階で、なかなか皆様にお知らせできるものが少ないのですが
続報にご期待ください。

編集部 髙城 光

 


奥付

Cul De La 通信
2019年5月27日発行 通巻第11号

発行 一般社団法人日本カルチャーデザイン研究所

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