第39回図書館建築研修会 参加レポート

当社団理事の田中榮博(たなかよしひろ)より、2018年2月17日に開催された「第39回図書館建築研修会」の参加レポートが届きました。

どうぞご覧ください。


第39回図書館建築研修会(主催 公益社団法人 日本図書館協会図書館施設委員会)が、2018年2月17日、跡見学園女子大学文京校舎において開催され、参加してきました。
当日は土曜日、それも10時からの開催にも関わらず、約50名もの人から申し込みがあるということから、一人ひとりの熱気が部屋中に感じられるものとなりました。

その内容は、基調講演として、西尾真治氏(三菱UFJリサーチ&コンサルティング)による、さいたま市をモデルとした「公共施設マネージメント計画」に始まり、柳澤 要氏(千葉大学大学院教授)による、松戸市、佐倉市の事例から「公共施設の再編整備と図書館-国内外の先進的事例をケーススタディとして-」という表題による講演、最後に、事例報告として、松戸市および西東京市の担当者から、「松戸市における公共施設マネージメントと図書館について」、「西東京市における複合による図書館施設更新計画」が紹介され、密度が高い研修会となりました。

参加者も、公共施設を運営する地方自治体、複合施設での中核を担うべき公共図書館の方を筆頭に、大学図書館、建築事務所など、多種分野から参加があり大盛況でした。

私は以前より、人口減少化の中での都市計画について関心がありました。
そして、もう少し踏み込むと、今は減少化傾向であっても、その後増加に転じてくる。
その時のための方策を、公共施設の再編計画の中に、どのように組み込んでいくのかが、とても興味があったのです。

今回の研修の中で、一番印象に残ったのは、西尾氏が使われた「不利益の配分」という言葉でした。
人口減少に伴い、公共施設の複合化も含め、数多くの事象を見直し・調整を行う必要があるが、その際は、地域という領域を超えた調整をする必要があること。
低利用の施設の見直しにおいては、特例=聖域を作らない。多方面にわたる方策を考え、施設の稼働率をいかに右肩上がりにしていくのか、稼働率が上がることで不利益の配分もクリアできるというもの。

同様の事が、首都圏ではなく、遠く離れた地方都市では、当初低迷していた施設稼働率が、多くの知恵の結合で、今では85%を超える状態になり、利益においても順調に伸びているという事例もあります。
国内に点在する無数の公共施設の運営という部門に携わる人々が試されているのが、この時代であると感じた研修でした。

〔研修後談〕会場であった跡見学園女子大学は、私がその昔、在籍していた学術情報センター(現国立情報学研究所)があった近くだったので、研修終了後、付近を散策してみました。
以前の名残を感じられたところ。激変していたところ。想い出を拾い集めることもできた1日でした。


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