当社団は、大阪府泉大津市の新図書館整備事業に、今年度アドバイザーとして関わらせていただいています。
その一環として、図書館フォーラムを企画させていただきました。
今回のフォーラムの企画は、主に当社団ディレクターの大場黎亜が担当しました。
彼女は、「この事業は、市長も、市のご担当者も、そして設計チームの皆さんも、熱い想いで一生懸命取り組んでいる素敵な人たちばかりだから、良いことも言いにくいことも、普段見えない裏側まで市民の皆さんにお伝えすることで、垣根を超えた、一丸となった図書館整備事業にできるような場にしたい」という気持ちで企画してくれました。
まず第1部では、企画のみならず当日の司会進行も担当した大場ディレクターが、市の図書館整備担当のお二人へのインタビュー形式で、図書館移転から基本構想策定の流れ、そのためのワークショップやアンケートの実施、設計プロポーザルの背景、全庁あげての職員研修などこれまで行ってきたことを聞き出していき、市のお二人が熱く語りながら説明しました。
続いて、設計に関わる6名に、メンバーそれぞれの関わり方やフィールドワークなどで地域住民から得た情報を設計にどう反映しながら進めているかなどを発表してもらいました。
その1つとして、昨年11月に新図書館設計分室を市内にオープンしたことで、これまで図書館に興味の無かった市民との交流を生むことができ、設計のプロセスを説明することができたり、完成してからのわくわくする期待を持っていただくことができたことを報告してもらいました。
途中設けた休憩時間では、参加した市民のみなさんが、設計チームの持ってきた模型と、これまでに何度も変更されてきた図面を眺め、設計者チームを捕まえて意見交換がはじまり、熱気が一段と上がりました。
大場ディレクターも、休憩終了のアナウンスを出しにくい程で、なんならそのままその場でトークセッションをしようかと思った程だったとのことでした。
第2部は、南出賢一市長と設計チームをステージに招いて、私からの質問をさせてもらうというトークセッションでした。
皆さんも聞いてみたいのではないかなと思った素朴な疑問から、私自身も聞きたかったことや、聞きにくいけど聞いてみたいことなどを投げかけました。
市長からは、予算のことなど職員と激突した議論などはあったけれども、一つ一つ解決してきたということ、そして目指すのは、「掛け算のまちづくり」であり、図書館整備がそのスタートとも言えるということが語られました。
そしてそれは、設計チームが、行政担当者やアドバイザー、そして特に地域住民と関係性を持っていることにあると語り、参加者も大きく頷いていました。
また、設計チームからは、地域を歩いたり、関わりを持つことは、地域の宝物探しをして、設計に反映させていることだと語られことは、印象的でした。
設計チームの特徴である、手書きの図面を多く使用していることへの質問では、チーム一丸となって、全員で手書き図面を見ながら、その場で機能を足したり、変更を加えることで、スピード感が出て、より良い設計ができるからだと説明してくれて、参加者の喜びも増しているように感じました。
最後に、フィールドワークの参加をきっかけに、図書館整備に興味を持ってくれた泉大津市在住の若者2人が、自分の思い、これからの図書館への自分たちなりの関わり方を熱く語るというシーンもあり、最後まで熱気あるフォーラムとなりました。
会場からは、図面を見て、わくわくしてくれている感想や、だからこそこの場を作れて、長く続けられるようにしなければならないという意見、そして、この図書館を使うために長生きがしたいなど声もあり、設計チームの中には涙する人もいました。
2時間があっという間に過ぎましたが、期待に満ち、豊かな時間でフォーラムを終了することができました。
令和3年7月のオープンを目指して、これからも多くの地域の方々と関わりを持てるような企画やアドバイスを行いたいと思います。